初心者が自宅でできる良質なマンションの見分け方(第3回:価格)

坪単価

本日のご挨拶

こんにちは、餅つき名人です!!

初心者がモデルルームに行く必要がない6つの理由」でモデルルームに行かなくても物件の良し悪しは分かるとお伝えしました。そこで初心者が自宅にいながら出来る良質なマンションの見分け方を3回に分けて記事にします。

各チェック項目ごとに0,1,2点で点数をつけ、合計点が満点の何%かを算出し、100点満点の場合なら何点かを計算し、物件の成績とします。

第1回:周辺情報
第2回:間取り
第3回:価格

今回は「第3回:価格」です。それでは気になる物件の価格を確認してインターネットにアクセスしてみましょう。

チェック1:坪単価は妥当か

気になる物件の価格を評価する前に予備知識が必要です。それが坪単価です。坪単価は不動産の価格評価の物差しの1つで多くのブログや書籍がこの坪単価で不動産価格の比較を行っています。

一般に使われる計算式は計算式「㎡数×0.33=坪数」です。私は暗算しやすいため「㎡数×0.3=坪数」という簡略式で計算しています。

坪単価の使い方を事例を用いて解説します。下記2つの物件の価格はどちらが高いでしょうか?誰もがB物件の方が高いと言うでしょう。

A物件(70㎡・21坪)4000万円
B物件(70㎡・21坪)5000万円

それではこの場合はどうでしょう?C物件のほうが安いのでC物件のほうがお得でしょうか?広さが違うので単純にC物件のほうが安いとは言い切れません。

A物件(70㎡・21坪)4000万円
C物件(50㎡・15坪)3800万円

1年に1回だけ無性に飲みたくなるマックシェイクで例えてみます。大抵の人はLサイズとSサイズを比較した場合、飲み切れるのであればLサイズのほうがお得であることを知っています。不動産もマックシェイクと同じ理屈です。

上記のサンプルに坪単価を加えるとこうなります。

A物件(70㎡・21坪)4000万円 坪単価@190
B物件(70㎡・21坪)5000万円 坪単価@238
C物件(50㎡・15坪)3800万円 坪単価@253

坪単価で比較するとA物件が安く、総額で一番安いC物件が総額で一番高いB物件より高い坪単価であることも分かります。

C物件はマックシェイクでいうSサイズなのです。もちろん支払総額が変わるわけではないのでA物件がお買い得かどうかは分かりませんが、少なくとも問答無用でC物件が一番お得というわけではないことが分かります。

このように坪単価は広さの違う物件を同列で比較できる大切な指標ですので覚えておいて損はないと思います。

チェック2:駅からの距離に対して坪単価が妥当か

これまで坪単価で不動産の価格を比較してきましたが、下記のように駅距離が加わるとどう評価してよいか悩むと思います。坪単価ならA物件が安いが駅からは遠いからです。

A物件(70㎡・21坪)4000万円 坪単価@190 駅から徒歩15分
B物件(70㎡・21坪)5000万円 坪単価@238 駅から徒歩10分
C物件(50㎡・15坪)3800万円 坪単価@253 駅から徒歩  5分

誰でも駅から近くて広くて安い物件を探しています。予算オーバーでも駅近で広い物件を買うのか、それとも予算を重視して駅から遠いけど広い物件を買うのか、駅近で狭い物件を買うのか。正解はありません。

私は坪単価に駅徒歩時間(1/60換算)を乗算した駅距離単価を指標としています。使用する駅徒歩時間は第1回でお伝えしたGoogleMapでの駅徒歩時間もしくは実測値なので注意してください。不動産業者が物件概要に掲載する駅徒歩時間はあてにならないからです。

駅距離単価を加えるとこのようになります。駅距離を考慮すると今まで割高だったC物件が圧倒的にお買い得であることが分かります。

A物件(70㎡・21坪)4000万円 坪単価@190 駅から徒歩15/60分 駅距離単価49万円
B物件(70㎡・21坪)5000万円 坪単価@238 駅から徒歩10/60分 駅距離単価40万円
C物件(50㎡・15坪)3800万円 坪単価@253 駅から徒歩  5/60分 駅距離単価21万円

駅から距離のある物件は価格も控えめになっているのではとの指摘もありますが、この計算式を使うと駅から遠い物件の駅坪単価が駅から近い物件より安いことはほとんどないことに気づくはずです。駅から距離がある物件は駅距離を正当化できるほど安くはないのです。

不動産を探しているほとんどの人が駅距離を気にしている現状を考えると駅距離単価も指標にすべきだと思います。なおこの計算式だと駅近であるほど極端に割安になる欠点がありますので駅距離の補正の仕方は自分好みで調整して下さい。

チェック3:価格の下落率は低いか

これまでの記述は築年数に違いがない新築物件を念頭に置いたものでした。ここからは中古物件も念頭に置いたものになります。予算と資産価値のバランスを考慮すると2015年の現在では中古以外に選択肢がないからです。駅距離単価の築年数に応じた価格下落率を算出することで新築と中古を横並びで比較できるようになります。

価格下落率を算出するにはいくつかのやり方がありますが「SUUMOやHOME’Sなどの不動産ポータルで近隣の中古市場を調べる」のが適切です。加えて「ふじたろう、イエシル、ウチノカチなど不動産価格予想サイトを使う」方法も併用します。

ただ2つとも総じて高めに金額を査定する傾向にあるのです。前者は売主の希望価格なので割高で当然で、後者は平均をとるのでやむなしなのです。総じて1割増し、地域によっては2割増しとなっているように感じます。成約事例を見ても表示価格と同じ価格で取引されていることは滅多にありません。

なお不動産価格予想サイトを利用するのであれば「ウチノカチ」を利用するのがよいでしょう。会員登録が不要で、広さ・築年数・駅距離をパラメーターで設定すればすぐに価格推移の予測が閲覧でき便利だからです。

価格下落率を試算してみる

少し試算をしてみます。候補の物件と同条件の物件を検索条件に入力して築年数ごとの中古価格を確認します。そして駅坪単価の経年下落率を算出します。

その際にひとつ注意点があります。階数や中住戸・角部屋はそれほど価格影響はありませんがリノベーション物件は割高になってしまうので除外するようにしてください。どうしてもリノベーション物件しか対象物件がない場合は一律で800万円を引いてください。中古マンションをスケルトンリフォームするとこの程度かかるためです。業者の利益がさらに上乗せされている場合もありますがひとまずは800万円でよいと思います。

さて試算に戻ります。駅距離単価40万円のB物件の築年数が15年なのでHOME’Sで駅距離・広さが同じような中古物件を検索し価格下落率を試算してみるとこんな具合になりました。

B物件(70㎡・21坪)5000万円 坪単価@238 駅徒歩10分 駅距離単価40万円 築年数15年

築年数 0年 駅距離単価50万円 下落率 0% 価格6250万円
築年数15年 駅距離単価40万円 下落率20% 価格5000万円
築年数30年 駅距離単価25万円 下落率38% 価格3125万円 総下落率50%

B物件は築年数15年なので新築(現在価値)からの下落率は20%、30年間の下落率は50%であることが分かります。つまり新築6250万円が30年後3125万円になる物件だということです。

仮にフラット35(金利1.6%)で借りてB物件を5000万円で借りた場合、築年数30年(15年後)の残債は3200万円です。売却額ですら残っている住宅ローンを下回るB物件は購入するにはリスクが高いとの結論になりました。

不動産は下落率の低い物件を買う

不動産の価格については本ブログで一番大切な議題であるため長文となっていますが、もう少しだけお付き合いください。まだチェック3の続きです。

これまでの手順でA物件とC物件も試算してみると下記のとおりの結果になりました。下落率は新築→15年、15年→30年、新築→30年の順です。

A物件(70㎡・21坪)4000万円 @190 駅15分 駅坪@48万円 築 0年 下落率29%/68%/77%
B物件(70㎡・21坪)5000万円 @238 駅10分 駅坪@40万円 築15年 下落率20%/38%/50%
C物件(50㎡・15坪)3800万円 @253 駅 5分 駅坪@21万円 築20年 下落率 5%/14%/18%

これの結果を踏まえると買ってもいい物件はC物件だけとなります。駅からの距離が資産価値そのものであることを痛感させられます。なぜこれほど下落率を気にするのか疑問に思う方もいると思います。一生住むのだから下落率ではなく支払総額で考えるべきとの意見もあるでしょう。

しかし現実的には離婚、転勤、介護、双子が生まれたなど様々な環境の変化で物件を売却せざるを得ない場合があります。これらは全て私の身近で発生した事例です。その際に仲介業者への手数料を引いた売却後の手取額でローンが完済できるかが重要になります。

完済できない場合を「残債割れ」といい、手元の預貯金を吐き出しても完済できないとなると自己破産も見えてきます。

このような状況を回避するためにも検討している物件が15年後、30年後にいくらになるのかを予測する必要があります。もちろん正確に将来を予測することは不可能ですが将来の価格下落リスクを考慮しないでよい理由にはなりません。

上記の例だとすでに結論付けているとおりB物件は残債割れリスクを抱えることが分かります。管理修繕費など付随費用を考慮すると100%赤字になります。B物件を購入するのはリスクが高いので賃貸にしたほうがよいです。

A物件に至っては命綱なしで綱渡りをするようなハードボイルドな人が選ぶ物件です。フラット35(金利1.6%)で借りた場合で試算してみます。

A物件(70㎡・21坪)4000万円 @190 駅15分 駅坪@48万円 築 0年 下落率29%/68%/77%

経         年    15年後   30年後
———————————————-
残   債 2600万円  700万円
想定売却額 1280万円    920万円
=========================
結   果▲1320万円 +120万円

A物件は30年経過する前に売却する場合は全て残債割れになる可能性があるのです。諸経費・金利・管理修繕費・税金など付随費用を考慮すれば30年後以降もキャシュフローが赤字となることが濃厚な物件です。

予算内だからとA物件を購入することは自己破産への直通列車に乗ることと同じです。予算内だとしてもこのような物件を絶対に買ってはいけません。4000万円が予算ならば狭さを我慢してでもC物件を購入すべきなのです。

このようにチェック3の段階で買ってもいい物件はC物件だけになりました。さらにチェックは続きます。

チェック4:管理費・修繕費は妥当か

管理費・修繕費は住宅ローンとは別に毎月必要となる費用です。そして物件ごとに大きく異なる項目でもあります。

管理費は平米あたり200円/㎡が標準単価です。都内のマンションの管理費の平均値だからです。いくつかの中古物件を見ても見事に200円近辺の管理費が多いです。管理会社が利益を出せる単価がこの辺りなのでしょう。

なお共用施設の多いタワーマンションの管理費は300円/㎡程度になります。管理組合がどんなに努力をしてもタワーマンションの管理費が200円/㎡以下になることはありません。

修繕費は管理費と違い管理組合の管理下に置かれるため多くても問題ない費用です。反対に足りなくなることを恐れる必要がある費用です。

新築の販売現場では月々の負担を低く見せるため月5,000円などという無茶苦茶な修繕費が提示されますが、将来必ず値上げされることになります。初期に一時金として50万円程度が徴収されるので1回目の大規模修繕には足りるからです。

最低限必要な修繕費の月額ですが、最終的に12年目あたりに実施される大規模修繕までに1戸につき最低100万円が貯まっている必要があるそうです。そうすると修繕費は月10,000円は必要となる計算です。

多くの中古マンションを見学してきましたが100戸以上の規模があって、管理組合がしっかりしていて、滞納が少なければ、築30年でも管理費・修繕費の合計は20,000円程度で収まっています。

実際に私が住んでいた築33年の総戸数100戸程度のマンションは管理費・修繕費の合計が20,000円程度で収まっていて、さらに大規模修繕後でも修繕積立金が1億円以上も貯まっていました。

ただインターネット上では長期修繕計画に沿った修繕費の上昇額が分かりません。モデルルームに行き、さらにこちらから問い合わせないかぎり開示されません。そこで新築マンションの修繕費は戸数で簡易的に評価することになります。駐車場が平置きか機械式かも修繕費に影響が出る項目ですので慣れてきたら評価に加えてください。

タワーマンション → 0点(修繕費は最終的に5万円近くになる)
総戸数100戸以上 → 2点(スケールメリットが発揮される)
総戸数  50戸以上 → 1点
総戸数  50個未満 → 0点(各戸の負担割合が増える)

70㎡の中古マンションであれば総戸数が100戸以上なら管理費・修繕費の合計が20,000円にどれだけ近いかで判断するのがよいでしょう。100戸以下の場合はスケールメリットが効かないため30,000円以下がどうかで判断してください。タワーマンションであれば月35,000円以下かどうかが基準となります。

C物件は築20年の小規模マンションですが管理費・修繕費の合計が30,000円で何とか合格ラインです。

チェック5:周辺賃料より月々の支払いが安いか

これまでの計算でC物件だけが購入してよい物件なのは分かりました。最後にC物件周辺の賃料との比較して本当にC物件を購入してよいかを判断します。

なお賃料との比較は住宅ローンだけでなく諸経費・管理修繕費・税金など付随費用も加える必要があります。特に諸経費は見落としがちなので注意してください。

不動産業者は意図的に購入時にかかる初期費用である諸経費を無視して賃料との比較をしてきます。購入したほうが賃貸よりも得なのであれば不動産業者が購入して賃貸に出せば確実に利益がでるのです。彼らが自分たちで購入しない理由をよく考えてみる必要があります。

それでは試算に戻ります。SUUMOに運よくC物件の別の部屋が賃貸で出ていました。最近は分譲物件の賃貸がどんどん増えています。賃貸物件のグレードが低いのは過去の話となりつつあると感じています。

C物件をフラット35(金利1.6%)で借りた場合の試算結果です。なお動産業者は支払額を少なく見せるため変動金利で35年の長期試算を行いますが、金利の変動リスクを排するためにもフラット35で計算すべきです。

購入した場合

支払額   12万円
管理費修繕費  3万円(35年の平均)
固定資産税   1万円(月割)
諸経費     1万円(35年の月割)
ローン控除 ▲0.6万円
35年後の価値▲0万円(月割)
====================
合         計   16.4万円

賃貸した場合

家賃    15万円
諸経費    1万円(敷礼金・更新料・保険料等を35年の月割)
====================
合          計 16万円

結果が出ました。C物件は購入すべきではありません。広さ・築年数・駅距離・グレードが同じ物件を35年間住み続けた場合、僅かの差ですが賃貸のほうが月0.4万円、35年間で170万円お得だからです。

もし購入の諸経費を35年で長期運用(年利3%)すれば1110万円程度になります。購入した場合のローン控除を積立投資すると780万円程度なので、差額の330万円がお得となります。

同じマンションの同じ間取りに住むのに賃貸のほうが500万円(170万円+330万円)もお得なのであれば購入する理由を無理に見つける必要はないでしょう。

もちろん35年後の500万円程度の差ならリスクを背負っても購入するという判断もあると思います。家を買いたくて仕方がない人はここで「35年後の売却価値があるから諸経費の不利を加味しても購入のほうが得だし購入しよう」という発想に至ることがあります。

しかしC物件はすでに築20年です。35年後は築55年です。賃貸を選択したことで浮く金額が500万円ですから売却手数料を無視したとしても最低限500万円の残存価値が必要です。全くリフォームをしていない築55年で50㎡の狭いマンションを誰が購入してくれるのでしょうか。

私であれば青山や赤坂など都心以外の地域で築55年の中古マンションを購入する気にはなれません。残念なことに近郊や郊外では築55年のほとんどの物件に売却価値があるとは考えてはいけないのです。

それなら新築でC物件と同じ条件の部屋を購入すればよいと食い下がる方もいるでしょう。しかし2015年の現在ではC物件と同じ条件の新築物件は5000万円を優に超えておりB物件と同様に残債割れのリスクに晒されることになり、買ってはいけない物件になってしまうのです。

チェック6:個人的な価値観を満たすか

最後のチェックポイントです。ほとんどの人がこの項目が一番最初のチェックポイントにしますが間違いです。客観的に多数の人が満足できる物件の中で個人的な価値観を満たすものを探すことが大切です。

またあくまでも1項目として得点をつけてください。職場までに近いから2点、緑が多いから2点などと気に入った部分ごとに項目に分けてはいけません。必然的に点数が高くなってしまうからです。

この項目は個人の価値観ですのでどんな判断基準にしてもOKです。私の場合は「近所に個人経営の美味い店がある」「職場までドアtoドアで60分以下」「リビングの窓が大きい」「田の字の間取りではない」「最新設備である」などです。

本日の終わりに

チェック1からチェック6を経ることで、A物件、B物件、C物件すべてが買うべきではないという結論になりました。実際の物件探しもこのようなプロセスを経て購入判断をすることになります。

第1回:周辺情報」「第2回:間取り」「第3回:価格」と候補のマンション評価のポイントを3回に分けて記載しましたがチェックポイントとしての優先順位は「第3回:価格」→「第2回:間取り」→「第1回:周辺情報」となりそうです。妥当な価格でなければどんなに素晴らしい周辺環境でどんなに最高の間取りでも買うべきではないからです。

この計3回の記述が誰かの役に立つことができたなら何にも勝る喜びです。それでは今日はここまで、本当にお疲れさまでした!!









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