第4章:自宅売却の仲介業者選び

はじめに

大変長らくお待たせしました。別名、愚痴カテゴリである「マンション購入奮闘記」のセカンドシーズンの続きです。

前回の第3章の公開に2ヶ月弱もかかり読者の方から愛想を尽かされていると思いきや暖かいコメントを多数いただきまして、これではいけない、と一念発起し今度こそは間髪入れずに記事を公開する・・・、はずでしたがこの有様です。

基本的に頭の中では記事は完成しています。家電レビューもマンションレビューも頭の中には下書きが何本も用意されているのです。ただ、全くもって書く気がしません。Twitterをフォローいただいている方は「毎晩違う店で酒飲む暇があるなら書けるだろ?」と冷静なツッコミをされるかもしれませんが、こればかりはどうしようもありません。

しかし、読者の方から「売却編まだですか?」「売却編が待ち遠しいです」「売却編を楽しみにしています」と多数のリクエストをいただくにつれて、やっとこそさ重い腰をあげることができました。

さて長い口上はもういいでしょう。第1章ではブログ開設の真相とブログ運営の大変さを中心に、そして買ってもいいかもしれない新築マンションに出会うまでを書きました。また最後にそう易々とは新築マンションが購入できないことを匂わせつつ終了しました。

次の第2章では中の人からの情報を参考に要望書を提出したにも関わらず、売り手側の都合で他人に販売されて購入できなかったところまでを書き、第3章では担当営業の悪意なきやらかしで危うく騙されそうになりながらも待望の都心マンションを契約するまでの経緯を書きました。

今回はその続きとなる自宅マンションを売却した際のお話です。超絶ボリュームにつき3部作を予定しています。それではごゆっくりとお楽しみください。

自宅査定

三井のリハウスの査定

時間軸は少し前に戻ります。要望書を出させておきながら別の人に販売するという失礼な対応をされたマンションを購入検討していた頃の話です。このマンションは三井不動産レジデンシャルが手がけるマンションだったので、自宅の査定は系列の三井のリハウスが査定をしてくれました。

査定の結果は買値の120%という結果でした。昨今の新築マンション価格の高騰を考えれば妥当な価格でしょう。錦糸町駅徒歩圏内のこのマンションが新築だとしたらこの提示価格からさらに40%は高いはずです。築20年とはいえフルリフォームに近いリフォームを実施しているのですから当然の査定結果です。

お世話になった不動産屋の査定

自分の査定ともほぼ一致していたので大丈夫だとは思いますが、仲介業者が媒介契約欲しさに市場からかけ離れた高値を査定価格としている可能性もあります。

そこで、以前にお世話になったWさんにこの査定結果の信頼性を訪ねたところ「周辺の取引事例と照らし合わせても違和感はない」とのことでした。持つべきものは優秀な不動産屋の知り合いです。

仲介業者の選定

囲い込みは避けたい

査定結果が妥当であることが分かったので、次は代理人となってくれる仲介業者を選定することになります。査定をしてくれた三井のリハウスに頼めばそれで済む話ですが、大手仲介業者は囲い込みのリスクがあります。

囲い込みとは別の業者からの取次を売主に内緒で拒否する行為です。目的は売却と購入の両方の手数料を得るためです。要するに売主と買主の両方の代理人になることで一石二鳥の収益を得たいのです。

商売ですから効率のいいビジネスモデルを追求するのは当然ですが、売主側としては本来売れたはずの自分のマンションが仲介業者の都合で売れなくなることを許せるわけがありません。

地元の不動産屋は弱気

そこで自宅を購入した時に売主側の代理人だった地元の不動産屋(Uさん)に連絡を取って意見を聞いてみました。Uさんとは自宅購入後も売主さんを巻き込んでのお付き合いがあったので気軽に相談できました。

ところが、意気揚々と引き受けてくれるかと思っていたら「こんな高値で売れるはずがない。どんなにリフォームをしても餅つき名人さんが購入した価格+100万円程度が関の山です。」と意外なほど弱気なのです。

確かにリフォームが資産価値に影響しないことは知られた事実です。しかし、マンション価格がさらに高騰しているのに、私が購入した3年前の価格が上限なわけがありません。

お世話になった不動産屋の意見

そこで、またしても以前にお世話になったWさんに意見を伺ったところ「Uさんの弱気ゆえに餅つき名人さんは割安でマンションを購入できたのです。買主にとってはメリットですが、弱気の不動産屋は売主にとってはデメリットでしかありません。」との回答がありました。

そうなのです、私が自宅を購入した価格はUさんの弱気ゆえの超お買い得価格だったのです。売主さんが早く売却しなければならない事情もあったのですが、Uさんの弱気が要因の一つであることは間違いありません。

安く買って安く売ったのでは意味がないのです。当たらないと思って投げたダーツが真ん中に当たるわけがありません。やる気のない不動産屋に売却を依頼する気にはなれません。もちろんUさんに依頼することは止めにしました。

飲み屋の不動産屋

これら一連の話をいつもの焼き鳥屋でホッピー片手に愚痴っていたところ、隣にいた常連のTさんがこんなことを言ってきました。「アパート管理で食ってる街の不動産屋が分譲マンションを高値で押し込めるわけがない。分譲マンションの売買は売買に特化したプロに任せるべきだ。」

よくよく聞いてみればTさんはあの悪名高い住友不動産販売で20年間勤めたあと、独立して不動産屋を営んでいるとのこと。

同業の仲介業者からは「住友不動産販売とは取引したくない」と言われ、読者の方からは「妖怪、詐欺師、嘘つき」とあらゆる恨み辛みの相談が寄せられる悪徳企業で鍛えられた力強い営業力は今の私がまさに欲していたものでした。

後日、自宅の査定がてら雑談をしても抱腹絶倒の武勇伝はまさに営業の猛者です。営業活動で土下座って本当にあるんですね。外見は仁義なき戦いに出てくるヤクザそのものですが、私が必要なのは営業力です。

「三井のリハウスの査定価格どおりで売れますよ。ここは私に預けてもらえませんか?悪いようにはしませんから。」の力強い一言が決めとなりTさんに仲介をお願いすることにしました。

Wさんに頼まなかった理由

お気付きの方も多いかと思います。これら一連のプロセスは仲介業者選びでやってはいけないことのオンパレードです。

振り返るとTさんは高値で売却できる具体的なプランは何も話していません。価格についても三井のリハウスの査定をそのまま流用しており、自分自身で査定はしていません。そして当然のようにこの甘い仲介業者選びが自分自身の首を絞めることになるのです。

そもそも自宅の価値と市場を最も理解しているWさんに売却も依頼するのが正解なのです。ただWさんは個人で活動されており、いつあるかわからない内覧の立会いをする余裕がないとのことで仲介を断られてしまったのです。

仲介業者選びのコツは別のノウハウ記事としてまとめますが、物件の価値(特徴)を理解している業者に頼むことが最大のポイントです。アパレルのトップ販売員が最先端の半導体を売ることができないのと同じです。理解していないものを売ることはできないのです。

一抹の不安

あっという間の成約(という妄想)

正直なところ売り出しと同時に買い手が殺到し希望価格であっという間に成約するものだと信じて疑いませんでした。

何しろ我が家は当ブログで公開してきたありとあらゆる苦労を重ねて選び抜き、センスあふれるリフォーム工事で磨き上げた最高のマンションです。世間の人にとっても最高のマンションであることは明白だからです。

都心の人気マンションは値引きなしで買いたいという申し出が殺到することが多々あります。現金で今すぐ買うから自分に売ってくれ、希望価格より出すから売ってくれ、などと買主側がお願いする事例すらあるのです。

今回売却するマンションは都心でこそないものの交通利便性に関して言えば東関東最強の錦糸町です。本音を言えばもっと高く売れるとすら思っていました。売り出し価格を決めたあとに「あと500万円くらい上乗せして、もっと高値追求してもよかった・・・」と後悔したほどです。

いけてないチラシ(マイソク)

そんなモテ男みたいな妄想をしながら、意気揚々とTさんと専任媒介契約を結び、チラシ(マイソク)が作成され、いざ売却開始です。

同時にTさんが昔ながらの販促手法である近隣へのチラシ配りを敢行します。Tさん曰く「中古マンションの買い手の多くは近所の方なのです。近所の方にアピールするにはチラシは最適な販促手法なんですよ。チャンスがあればオープンルームもやりたいですね。」とのこと。

チラシなんて昭和の販促が有効なのか眉唾物ですがやらないよりはマシです。ただこのTさんが作成したチラシが全くもって我が家の魅力を伝えられていないのです。

我が家は相当なリフォームをしており築20年というハンディを感じさせない部屋です。しかし、そのチラシではこの最大の売りについて一切触れていないのです。なんと室内の写真すら載せていません。これではチラシを見た人に築20年の平凡な小規模マンションという印象しか与えないのです。

このチラシの一件で「この人、本当に売却のプロなのか?」という疑問が頭の中をよぎるようになっていきます。

SUUMOには掲載しない

ただ、チラシ(マイソク)なんてどうでもいい話です。SUUMOからの集客が本命ですからしっかりとSUUMOに掲載してくれればいいのです。「SUUMOにはいつごろ掲載されるのですか?知り合いにプロのカメラマンがいるので写真はプロの写真を掲載して欲しいです。」と言ったところ驚愕の返事が返ってきました。

SUUMOに載せると住宅ローンの審査も通していない質の悪い客が押し寄せて収拾がつかなくなります。不動産業者が選別した優良な見込み客だけに絞った方が結果として近道なんです。

Tさん珍言集 その1

要するにSUUMOには掲載しないと言っているのです。

この一件でさらに何かがおかしいと思うようになりました。恐る恐る「インターネットの時代ですから、チラシを配るようにSUUMOに載せても損はしないと思うのですが・・・」と聞いてみたところこれまた驚愕の返事が返ってきました。

はい、インターネット対応はバッチリです。不動産業者間でネットが繋がってますので昔のように電話で問い合わせたりしなくて済むのです。インターネットって本当に便利ですよね。仕事がやりやすくなりましたよ、ワッハッハ。

Tさん珍言集 その2

この噛み合っていない間抜けな回答を聞いた時の私の気持ちを想像してみてください。例えるなら用を足したトイレの便器の中に携帯電話を落とした時のような気持ちです。

実は後から判明したのですがTさんはSUUMOへの掲載方法を知らなかったのです。もう不動産の売却をITリテラシーのない街の不動産屋に頼む時代ではなくなったことを痛感しました。

しかし、Tさんの言い分も冷静に考えれば一理あります。買う気もない見学者の対応で貴重な週末が埋まってしまうのは勘弁してほしいものです。

それでも、最高の我が家であればSUUMOに載せなくても売れるから問題ありません。新築マンションの引き渡しまで1年以上の猶予がありますから、物は試しにTさんの言い分を受け入れてみることにしました。

実際問題としては見学者たちに明らかにそういう人たちがやってきて、半日かけて綺麗に掃除した我が家を10分見学しただけで去っていくのを見て殺意を覚えることになるのですがそれは次回のお話。

土日休みの不動産屋

ところがTさんのトンデモ発言はまだまだ続きます。内覧の段取りの説明をしている最中にこんなことを言い始めます。

だいたい木曜日あたりから他の不動産業者から内覧の問い合わせがあって、週末で内覧となるパターンがほとんどです。なので金曜日には内覧があるかどうかはわかるので金曜日の夜にお電話しますね。

我が社は土日祝が休みですが、もし内覧があるときは休日返上で対応しますから安心してください(•̀ᴗ•́)و ̑̑ぐっ

Tさん珍言集 その3

このゴリラは何を言っているんだ?」上記の発言を聞いた時の素直な私の気持ちです。土日休みということは一番お客が動く土日の内覧申込を受け付けないことを意味します。こんなアホな話があるでしょうか。

案の定、実際に土日に内覧の申込が発生することになるのですがそれはこの後で触れていきます。もし土日が休みだと知っていたらTさんに依頼はしなかったでしょう。旬が限られる中古マンションの売却で致命的な問題となるからです。

本日の終わりに(次回予告)

不動産業者のずる賢さ

ここまでの流れを改めて振り返ってみると、Tさんのずる賢さがよくわかります。Tさんはほとんどの場合で後出しジャンケンをしているのです。そして、この後出しジャンケンこそが不動産売買を生業としている人間の本質でもあります。

おかげさまで当ブログも開設から3年を経過し、これまで数多くのお便りをいただきました。一番多いお便りは物件評価ですが、同時に不動産業者に対する愚痴も多いのです。

味方になるはずの仲介業者が相手側の仲介業者と結託していたという話に始まり、売主が決めた買主を無理やり変更させる、勝手に契約書を書き換える、など不動産業者の悪徳度合いを物語るエピソードは事欠きません。

間違いだらけの仲介業者選び

そして例外なくTさんもこの類の人間でした。私は役立たずの仲介業者と媒介契約を交わしてしまったのです。しかし、この時点では自分が目隠しをして綱渡りをしていることなど気づきもしませんでした。

完全な偏見ですが、不動産業者は「詐欺師」です。そして、この詐欺師はさらに2つに分類することができます。「役立たずの詐欺師」と「狡猾な詐欺師」です。私たち一般人は不動産を買う時も売る時もどちらかの詐欺師のお世話にならなくてはならないのですから、全くもってひどい話です。

次回予告

さぁこれから、という段階ですが、現時点で5,000文字を超えているため本日はここまでにします。次回は売却編3部作の中編になります。売れないという事実が徐々に精神を蝕んでいく様子をお楽しみいただければと思います。

もちろん不動産業者に対する容赦ない悪口も健在です。最初の中古マンション選びでお世話になったWさんのように高潔に近い不動産業者なんて世の中にはほぼ存在しないのです。

それでは、今日はここまで。最後までお読みいただきありがとうございました!!

6件のコメント

いつも更新ありがとうございます。
今回もとても面白いないようでした!次回も楽しみにしております!
不躾なお願いなのですが、餅つき名人さまと買おうと思っている地域が被っているのでその弱気な不動産屋さん教えていただけませんか?

コメントありがとうございます。弱気な不動産屋さんは本当に役に立たない存在ですから気になるお気持ちは大変よくわかります。詳しくは書けませんが続きの記事を読むと色々と分かる部分もありますのでまずは記事の続きをお待ちいただければ幸いです。

いつの間にか更新が・・!!
仲介業者選び、(勝手なイメージながら)餅つきさんらしからぬ失敗を・・!今どきネットを使わない業者が存在するのは驚きです。
私も中古物件購入検討の際に複数の業者に依頼しましたが、一度顔を合わせると断りづらいものでした。以前から顔見知りだったりすると、より難しさを感じますね。
続きが気になるので、次回も楽しみにしています(•̀ᴗ•́)و ̑̑ぐっ

いつもご覧いただきありがとうございます。不動産の売却は初体験だったので自分でも想像以上にやらかしてしまった感があります。ただ、こうしてブログに公開できるだけのネタになったので結果的にはいい選択だったなとも思います。失敗を素直に書ける不動産ブログは当ブログだけではないかと変な自負にまでなっています(笑)次回もゴリラ不動産に翻弄されますので楽しみにしていてくださいね(•̀ᴗ•́)و ̑̑ぐっ

公開待っておりました!
相変わらずキレキレであっという間に読んでしまいました。続きを楽しみにしております^_^

いつもご愛読いただきありがとうございます。せっかく公開したはいいのですがあまり反響もなく、出来が良くなかったのか・・・、と落ち込んでいたところでしたので暖かい励ましのコメントが身にしみます!!次回も一生懸命書きますので引き続きよろしくお願いします!!

餅つき名人 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です