本日のご挨拶
こんにちは、餅つき名人です。
当たり前の話ですがマンションを購入すると決めた際は部屋を決めることになります。マンション一棟をまるごと購入する人はほとんどいないはずです。
ところがこのひとつだけ部屋を決めるという行為は想像以上に難しいと私は感じています。1棟のマンションにも複数の間取りと階数が組み合わさり相当数の選択肢になるからです。タワーマンションに至っては選ぶのが嫌になるかもしれません。
マンションの資産価値は立地で決まりますが、居住快適性は立地ではなく部屋で決まります。その部屋選びに失敗すると日々ストレスを受け続けることになり、せっかく購入したマンションがストレスの原因になってしまうのです。
そこで今日は数多の選択肢から快適性の高い部屋を選ぶためのポイントを列挙してみます。そして快適性の高さを追求していくと各自の理想の部屋の形が見えてくるのです。
今回の記事は前回の記事の続きです。前回は間取りについて個人的な考えを書きましたが今回の記事では階数について書いていきます。階数選びは大いに悩むポイントなので参考になるような記事が書けるよう頑張ります。
それではしばらくの間、よろしくお付き合いください。
>> 前回の記事はこちら(↓)です。
1.階数は何階を選ぶべきか
①地下または1階の部屋
個人的には選ぶ理由が見つからないです。
・道路から部屋が丸見え
・大雨の時の被害
・上階からの落下物
・セキュリティ面
・周囲の建物の影響で日照・眺望が悪い
・電柱や電線が視界を遮る
・道路からの騒音(車、バイク、通行人)
・周囲の商業施設からの臭い
・一戸建てが出すゴミ収集所の影響
などデメリットを挙げたらきりがありません。デメリットの幕の内弁当と言っても過言ではありません。
庭や専用駐車場などのスペースがあることをメリットにあげる人もいますが上階からの落下物という問題があるため、果たしてメリットといえるかどうか疑わしいです。
また増加傾向にあるゲリラ豪雨の被害も見逃せません。地下住戸はもちろんのこと1階も注意が必要です。以前住んでいたマンションでは大雨によって上階からの排水が多すぎて1階住戸近くの排水溝から溢れて1階住戸が水浸しになったことがあります。
このように上階からの影響が多くあるため地下または1階の部屋は選ぶべきではないと言えます。
②2階から4階までの部屋
地下または1階の部屋のような上階からの影響はありませんがデメリットをまだまだ挙げることができます。
・周囲の建物の影響で日照・眺望が悪い
・電柱や電線が視界を遮る
・道路から部屋が見える
・道路からの騒音(車、バイク、通行人)
・周囲の商業施設からの臭い
・一戸建てが出すゴミ収集所の影響
ざっと書いただけこの数です。それぞれが致命的なデメリットですがゴミ収集所の影響について補足します。
マンションは共通のゴミ捨て場がありますが一戸建てはゴミの日に道路にゴミを出します。その一戸建てのゴミ収集所の近くにある低層階の部屋は特に注意が必要です。
ゴミの臭い、ごみを出す人の気配、ごみ収集車の音、そして自分の部屋のベランダがカラスのたまり場になるなどデメリットがてんこ盛りです。特にカラスがベランダをたまり場にした場合は本当に苦労します。
以前住んでいたマンションではこれが原因でせっかく購入した部屋を売却した人がいるほどです。バルコニーを網で覆っている部屋もありました。せっかくの南向きのリビングでも景色が網越しにしか楽しめないとなれば何の意味もありません。
このようなデメリットを考えると2階から4階までの部屋も積極的に選ぶべきではないと言えます。
③5階から13階までの部屋
悪くはないですがまだまだデメリットが解消されません。
・周囲の建物の影響で日照・眺望が悪い
・道路からの騒音(車、バイク、通行人)
・周囲の商業施設からの臭い
これまた経験談になりますが以前に繁華街に建つマンションの11階の部屋に住んでいたことがあります。
そこでは夜な夜な酔っ払いが騒いでいて11階でも下世話で頭の悪い会話が丸聞こえでした。隣の部屋に引っ越してきたご夫婦は酔っ払いの頭の悪い会話があまりにも筒抜けなのに驚いていたくらいです。
また近くにあったアジア料理店の臭いも11階までうっすらと香ってきました。10階程度では道路からの影響は排除できないのですから積極的に13階以下の部屋を選ぶべきではないと言えます。
④14階以上の部屋
これまで列挙したデメリットはほぼ解消されます。日照と眺望についてはタワーマンションが乱立している地域だと高層階でもどうしようもない場合もありますが、通常の街では14階以上の部屋を選べば大きな問題はないことが多いです。
しかしこの14階以上の階層から新しいデメリットが登場します。「価格が高い」という致命的なデメリットです。
通常のマンションだと1階ごとに50万円程度の価格上昇があり上層階と低層階の差は500万円以上になります。タワーマンションでも上層階と低層階では300万円以上の価格差になりますし、30階以上の超高層階であれば低層階との価格差は500万円以上になることもあります。
階数が違うだけで数百万円もの価格差が発生するなら低層階を選びたくなる気持ちになるのも止むを得ないところではあります。
それでもこれまで列挙されたデメリットを考えると多少無理をしても14階以上の部屋を購入すべきだと言えるでしょう。お金を優先させ快適性を犠牲にするのは本末転倒だからです。
快適に生活できる唯一無二の部屋だから金利を払ってでも購入したいのです。我慢が強いられるような部屋であれば数々のリスクを背負ってまで購入する必要はありません。賃貸で十分なのですから。
>> 購入と賃貸について熱く書いています。
2.最上階の部屋
巷では最上階の部屋に対して様々なネガティブキャンペーンが行われていて「最上階の1階下の部屋がベストチョイス」という結論が出来上がっているようです。
しかし私は最上階の部屋こそ最高の部屋だと考えています。そこで最上階の部屋についてのネガティブな意見について私なりの反論をしてみたいと思います。最初は最上階の部屋のメリットについて言及しその次にデメリットについて言及します。
(1)メリット
①上の部屋からの騒音が100%ない
過去から現在まで騒音によるトラブルが数えきれないほど発生しています。殺人事件に至る場合もあります。人が殺人を犯す原因になるほど騒音は大きな問題なのです。騒音は形の見えない暴力と言ってもいいくらいなのです
この上下左右からの騒音のうち一番ストレスがたまる上の階からの騒音が100%解消されるのは素晴らしいメリットだと考えます。
たまに下の階の騒音がうるさいという場合もありますが下からの騒音と上からの騒音では感じ方が異なります。上からの騒音は部屋全体に染みわたるようで本当に不快です。上の階からの騒音が確実にないという安心をお金で買えるのであれば迷わず買うべきだと思います。
②隣の部屋からの騒音が少ない
このメリットを指摘している人がほとんどいないのですが私は最上階を選ぶうえでの大きなメリットだと感じています。なぜ最上階になると隣の部屋からの騒音が少ないのかを説明します。
最上階や上階の部屋は価格が高いです。この高価格帯の部屋を購入するにはそれなりの収入が必要です。収入と教育の間に関係が周知の事実であるように収入の高い家庭は概してまともな家庭であることが多いのです。
まともな家庭であればマナーがきちんとしているので騒音など発生するはずがなく静寂が保たれます。もちろんベランダで喫煙などしません。そもそも収入の高い人がタバコを吸うことは稀です。また高収入の家庭は子供のしつけがきちんとできていて子供の出す騒音も少ないです。
経験則だけの完全な偏見であることは承知していますが騒音問題を起こすのは低層階の住人か賃貸の住人がほとんどです。良質な隣人を確保できる最上階を選ばないのはもったいないと思います。
③眺望が良い
多くを語る必要はないでしょう。最上階はそのマンションの中で最も眺望が良い部屋なので当然といえば当然です。最上階の眺望が悪いことは滅多にないのです。デベロッパーはそのような土地にマンションを建てないからです。
第一種低層住居専用地域の低層マンションだけは最上階でも眺望が良くないこともあります。しかしそれでも周囲の戸建てよりは眺望が良いのでやはり眺望はよいと言い切ってよいでしょう。
(2)デメリット
①部屋の温度が夏は灼熱、冬は極寒になる
築30年のオンボロマンションの最上階に住んでいたときはその通りでした。部屋の断熱機能がほとんどなく外壁の温度がそのまま室内に流れ込んでくるのですから当然です。
しかしその後、築10年のマンションの最上階に住みかえることになったのですが今度は暑さも寒さもそれほど気になりませんでした。部屋の断熱性能が築30年のマンションからはるかに向上していたのです。
夏はさすがにエアコンが必要でしたが冬は厚着をして靴下とスリッパを着用すればエアコンなしでも十分に生活できるほどでした。最近のマンションであれば最上階の室温について心配する必要などないのです。
②エアコンが効きづらい
室温が灼熱だろうが極寒だろうがエアコンを使えば解決します。最上階の部屋の気温は極端だからエアコンが効きづらいなどという主張も聞かれますが、最新のエアコンはあっという間に部屋を快適な温度にしてくれます。エアコンの性能向上に伴いこの指摘は時代遅れなものでしかありません。
③エアコン使用による電気代の高騰
エアコン使用に伴う電気代の高騰が最上階のデメリットだとの指摘もありますが、1人暮らしの会社員の私の場合でエアコンなしの季節が月3,000円程度、エアコンありの季節でも月9,000円程度です。6,000円程度の金額をデメリットにあげるくらい生活が苦しいのであれば住居選びの前にやることがあると思います。
また電気代に大きな違いがないことやペットを飼っていることからエアコンをつけっぱなしにしている人も多いはずです。そうすると最上階だろうが中階だろうが電気代に大差はありません。電気代も最上階を選ばない理由にはならないのです。
④エレベーター待ちが酷い
冷静に考えればエレベーター待ちは最上階だけの問題ではないことが分かります。エレベーターのキャパシティは最上階でも低層階でも変わらないからです。
むしろ最上階のほうが「絶対にエレベーターに乗れる」というメリットが際立つくらいです。通勤・通学時にエレベーターが満員で乗れなくて見送らざるを得ないリスクは下の階のほうが大きいのではないでしょうか。
⑤エレベーターが故障したら階段を昇るのが辛い
これは最上階だけではなく上層階全体の問題です。最上階を選ばない理由にはなりません。20階と19階で階段を上り下りする負担が2倍も変わるのでしょうか?
そもそもエレベーターが使用不可になる確率はほとんどゼロに近いのです。いま話題の豊洲市場のように影響のない事象を過剰にフォーカスするのは単なるネガティブキャンペーンと言わざるを得ません。
⑥シャワーの出が悪い
これも最上階だけではなく上層階全体の問題です。最上階を選ばない理由にはなりません。そもそも最近のマンションであれば上階でも水圧は確保されています。この指摘も時代遅れと言っていいでしょう。
3.最上階・角部屋のススメ
角部屋であれば隣の部屋は1つしかありません。最上階であれば上の部屋はありません。上の部屋と隣の部屋からの騒音トラブルとはほぼ無縁になります。
プレミア住戸の億ションとなっている場合は諦めるしかありませんが、多少無理をしたら最上階・角部屋が購入できるのであれば無理をしてでも購入べきだと考えます。ここまで列挙してきた数えきれないほどのメリットが確保されるのであれば多少の追加出費は安いくらいです。
以前のマンションで上の部屋の住人の昼夜を問わない足音と爆音音楽の重低音に苦しめられた経験があるので個人的には多少の上積みをしてでも最上階・角部屋を購入したいです。角部屋が無理なら最上階だけでも死守したいです。
4.資産価値は低層階のほうが優れている
ここまで最上階・角部屋を推しておきながら自らちゃぶ台をひっくり返すことをします。
都内のタワーマンションの場合、低層階のほうが購入時の価格からの下落率が低いことが明らかになっています。そしてこの指摘は通常のマンションにも当てはまるようです。
以下はとある中古マンションの事例です。すべて70㎡以上の部屋で方角は南向きです。広さと方角の歪みはなく、下落度合いは階数の違いが主な要因です。
低層階 新築:3900万円 → 中古:3500万円 年間下落率:0.8%
中層階 新築:4100万円 → 中古:3700万円 年間下落率:0.7%
上層階 新築:4600万円 → 中古:4000万円 年間下落率:1.1%
最上階 新築:4500万円 → 中古:3500万円 年間下落率:2.0%
最上階 新築:4800万円 → 中古:4000万円 年間下落率:1.2%
角部屋
生活の快適性を基準とした場合のベストチョイスである最上階の資産価値の下落率が高いのがすぐにわかります。日本のマンションの平均下落率が年2%ですから低層階の資産価値の維持具合が際立っているのもよく分かります。
この事実を知ると低層階も悪くない選択肢だと考えられるようになります。ここまで列挙してきた低層階が抱える様々なデメリットも資産価値という大きなメリットで相殺されのです。
「騒音トラブルの有無」という賭けに勝てたなら低層階もまたベストチョイスになるのです。騒音トラブルと資産価値の下落に直面する可能性がある上層階のほうが低層階よりもよっぽどリスキーな選択と考えることすら可能です。
もちろんここまで述べてきたとおり生活快適性は上層階のほうが優れているので上層階がダメという単純な話にもなりません。要は新築マンションを購入する場合は資産価値と生活快適性は両立できないということです。見事なジレンマです。
ジレンマである以上、どちらかを優先するしかありません。そして資産価値と生活快適性のどちらを優先するかで何階の部屋にするが決まります。個人的には生活快適性を優先します。マンションの騒音トラブルで苦しむのは金輪際もう二度とご免だからです。
5.終わりに
どの階数の部屋にするかという問題は大いに悩ましいものです。
生活快適性を重視すると最上階・角部屋がベストチョイスですが資産価値は維持されず低層階に劣ります。資産価値を重視すると低層階になりますが生活快適性が劣ります。そこに予算による制限が加わりますからますます選ぶのが大変になります。
このように資産価値と生活快適性は両立しないのですが、このジレンマを解消する方法が1つだけあります。それは中古マンションを買うことです。
前掲の中古マンションの事例をもう一度ご覧ください。中古価格が4000万円の上層階と最上階・角部屋が再度売りに出されたらどちらが先に売れるでしょうか。結果は火を見るよりも明らかなはずです。最上階・角部屋は買値の4000万円よりも高く売れる可能性すらあります。
このように中古マンションは個人の相対取引による市場原理の価格補正が働くため資産価値と生活快適性の両方を追求できる最良の選択なのです。中古マンションについてはあらためて記事にする予定です。
今回の記事はどの階数の部屋を選ぶべきかという問題に対して私なりの考えを記事にしました。素人の浅はかな知見ですから思いっきり笑読いただいて結構です。その代わり好きに書かせてもらいました。
こんな好き勝手に書き散らした記事ではありますが、マンション探しをされている方の参考になれたならこれ以上の幸せはありません。本来であれば部屋の向き(方角)についてもこの記事で触れる予定でしたが長くなったので次回に後編として別記事にします。
それでは今日はここまで。最後までお読みいただき本当にありがとうございました!!
音は下から上に上がります
11F程度では下の声や騒音はよく聞こえます
山に登った経験があれば、山の上でもふもとの人の声を聴いたことがあると思います
ご参考までに
参考になるコメントありがとうございます。山の事例のとおり11階くらいでは道路からの騒音は避けられないのですね。酔っ払いのアホな会話は素面で聞くとかなりキツイものがありますから繁華街近くのマンションは要注意ですね^^;