第72棟目:ブランズタワー芝浦

本日の物件

こんにちは、餅つき名人です。

今年最初の記事となったプラウドタワー亀戸クロスのレビューで今年は毎月更新すると宣言したにも関わらず2月の記事公開はゼロとなりました。GoogleSearchで検索結果を確認すると直近の記事よりも過去の記事をきっかけに当ブログを訪問してくれている方が多く、定期的に記事を公開することの大切さを身に染みて感じています。

そして、前々から当ブログを応援してくれている方たちからは「もう少し更新頻度が高ければ定期的にブログを見るのになぁ」とのご意見もいただいており恐縮するしかありません。月1回の更新ペースはできるだけ維持したいと思います

それでは本題に入ります。本日のレビュー物件は「ブランズタワー芝浦」です。すでにTwitterで呟いていますが特徴が皆無で記事を書く意欲がちっとも湧かない状況でした。レビューを書くのを止めることも考えました。見学してレビューを書かなかったマンションはそれなりに数がありますので自然なことです。

しかし、私のやる気のなさとは裏腹にTwitterでフォローいただいている方や当ブログの読者の方からレビュー依頼が絶えません。前者は面白半分(全部?)の分かってるご依頼ですが、後者は真剣に検討されてのご依頼です。

個人的に東急不動産と長谷工の組み合わせは不安しか感じないので見送り決定ですが、新築マンションの供給が限られている2020年にマンション探しをされている方にとっては検討対象になってきてしまうのでしょう。

つい先日も幕張の新築と湾岸の中古で悩んでいるという相談を読者の方からいただきましたが、新築を選択肢に入れると月とスッポンもの格差がある街を比較対象にしてしまうほどに新築マンションの供給が減っているのです。

このような状況下において当物件が救世主となりうるのか、コロナショックで不動産価格が下落するリスクを背負ってでも購入する価値がある物件なのか、早速レビューしてみたいと思います。しばらくの間よろしくお付き合いください。

>> 東急不動産の力不足を感じさせた物件はこちら

お断り

当レビューは「夜遊びが大好きなサラリーマン(40代・バツイチ・都心在住)の私が買いたいか」という個人的主観が評価基準です。マンションに求める条件は十人十色であり、私の評価基準が皆さんの評価基準と異なって当然です。特に子育てを最優先事項にするファミリー層にとっては何の参考にもなりません

「離婚するような人間の言うことは信用できない」「錦糸町に住んでいる人間が偉そうなことを言うな」など聖人君子の皆様から心温まるご意見を頂戴することもありますが全くもってその通りです。もし私がすでに再婚して子供がいても、実は錦糸町ではなく両国に住んでいたとしてもです。

ですから、当レビューの結果が気に食わなくてもご自身の評価基準で合格であれば迷うことはありません。他人が推奨する株を購入して金持ちになった人間がいないのと同じです。

他人が言うことを気にするのは自分の判断に自信がないことの裏返しでしかありません。当ブログの記事に悪態をつくよりもやることがあるはずです。過去のコメントを見るとお分かりになるかと思いますが、当ブログの素人レビューを真に受ける方がいるのであらかじめお断りしておきます。

>> レビューで使う評価軸はこちらをご覧ください。

>> モデルルームに行く前にこちらをお読みください。

モデルルーム

得点

チェック1:東京・品川・新宿まで30分程度→合格

※ 当項目はどれだけ便利な駅なのかという最寄駅の駅力を判定します。

最寄り駅となるJR田町駅からは東京駅まで9分、品川駅まで3分、新宿駅まで23分です。多くの人にとって魅力を感じる交通利便性となります。もちろん合格です。

田町駅は30万人/日もの人が乗り降りする大きな駅ですが、この交通利便性をしてみれば納得がいきます。日常使いができる都営地下鉄三田線は若干の役不足を感じさせますがないよりはマシでしょう。

チェック2:食べログの店舗数400件以上→合格

※ 当項目は飲食店の数で駅力を測定し、売却時の客付きを判定します。

田町駅で検索したところ908件の結果になりました。マンション建設地周辺の芝浦は殺風景で飲食店もまばらですが、山手線内側となる三田駅周辺の飲食店が含まれるためこの結果になります。田町駅の駅力は問題ないと判断して合格とします。

夜の現地調査

毎度のことながら夜の現地調査も行ってきました。当物件の比較対象になるグローバルフロントタワーを見学したついでに「キクヤレストラン(食べログにリンク)」で腹ごしらえをし、慶応仲通り商店街の飲み屋ではしご酒をしてきました。

その際に偶然にもグローバルフロントタワーにお住まいのご夫婦とお話ができました。その要旨は以下の通りです。

  • 芝浦は住民が上品で、街も綺麗で住みやすくとても気に入っている
  • 港区は子育て支援が充実しており、愛育病院が近くにあるのも心強い
  • 線路の向こう(三田)には飲食店も多いし独り暮らしでも困ることはない
  • 子供には慶應大学に進学してほしい(旦那さんが慶応卒とのこと)
  • ブランズタワー芝浦に住み替える予定はない
  • むしろグローバルフロントタワーが最高なので強くお勧めしたい

住民が上品

お住まいの方の感想なのでかなりのバイアスがかかっていますが、この住民が上品というのは私も現地調査で感じた特徴です。道を歩く女性の小綺麗さは総武線の街には見られない新鮮な光景です。前回レビューした亀戸の住民と比較するとジャニーズJr.とラグビー日本代表のメンバーほどに違いがあります。

慶応仲通り商店街の飲み屋でも店員もお客も上品です。ガールズバーの呼び込みのお兄さんまでもが控えめで、上品というよりもおとなしいとすら感じました。慶応仲通り商店街自体も映画のセットのように小綺麗です。これが慶応の品格なのでしょうか。ネズミとタバコとゲロと雀荘と学生ローンにまみれた高田馬場とは雲泥の差です。

飲み屋の価格の安さにも驚きました。価格と雰囲気だけを見ればここが港区だと想像するのは難しいです。味はどのお店もずいぶんな大味でしたが金額を考えればこんなものでしょう。高田馬場も美味しい店は少ないですし学生相手の飲食店に味を求めるのは筋違いというものです。

芝浦は穴場の地区

夜の現地調査を行ってみて田町駅周辺は千代田区における神田地区のような位置づけだと感じました。神田地区は千代田区の手厚い行政サービスと抜群の交通利便性を安価な住居費で享受できる穴場ですが、芝浦も同様なのかもしれません。

タバコや痰で道路を汚す薄汚いオヤジ達がいないぶん芝浦の方が住みやすいかもしれません。子育て環境であれば間違いなく芝浦でしょう。

チェック3:駅から徒歩5分以内→落第

※ 当項目は資産価値の土台となる駅距離を判定します。

当物件から最寄りの田町駅まで徒歩8分なので落第です。また、GoogleMapで駅までの所要時間を確認すると9分です。当物件から駅までの道中にはいくつもの信号が存在するため、実際に歩くと「結構遠い」と感じるはずです。個人的には悪天候だとかなりきついだろうと感じました。

一方で山手線の駅に徒歩9分であれば問題ないと判断する人もいるでしょう。この辺りは個人の感じ方次第ですので、当物件を検討されている方は家族みんなで駅までの道のりを歩いてみることをお勧めします。

チェック4:安定した地盤であること→落第

※ 当項目は地盤の強度を測定し、自宅が非常時の避難場所になり得るか判定します。

当物件の建設地は埋立地ですから落第にしかなりません。海が見える土地に住むには相応の代償が必要です。

また、港区のハザードマップを見ると防潮施設がすべて損傷した場合は建設地一帯が浸水被害にみまわれます。橋をひとつ渡れば防潮施設の有無にかかわらず浸水被害はない土地になるので、当物件の建設地は芝浦地区でもワンランク落ちる土地と推察されます。

チェック5:残債割れにならないこと→落第(補欠)

※ 当項目は残債割れのリスクを判定します。

客に手書きさせる価格表

第1期の販売開始が目前に迫っているにも関わらずマンションギャラリーでは価格表をもらえません。正式な価格ではないことを理由に訪問者に価格を手書きさせるのです。

インターネットが完全に普及したこの時代に訪問者に価格を手書きさせるとは時代錯誤も甚だしいとしか言いようがありません。どうせあっという間に価格はネット上で共有されるのです。

こんな頓珍漢なことをしてるから第1期1次からインテリアオプションをプレゼントするという間接的な値引き販売を強いられるのです。このマンションは割高すぎて売れていませんと売主自らが公言しているようなものです。

頭隠して尻隠さずとは東急不動産のために作られた諺なのでしょう。この調子だと最終期あたりは結構な値引きがなされることが予想されます。コロナショックの影響を考えれば早々に値引きがなされる可能性すらあります。

候補の部屋

レビュー対象の部屋は55C(東向き・中層階・55m2・8,520万円)とします。当物件は立地にも建物にも際立った特徴がない無味無臭のマンションです。そんな無味無臭のマンションにおいて唯一の特徴が海とレインボーブリッジの借景です。当物件を購入するのであれば海とレインボーブリッジが見える東向きの部屋を選ぶしかありません。

また、55Cは間取りも良いです。玄関がクランクしていない点は気になりますが、それ以外は理想的な2LDKの間取りです。どうしてこの間取りをブランズタワー豊洲にも採用しなかったのか理解に苦しみます。もしブランズタワー豊洲の間取りが当物件と同じであれば購入していたでしょう。

1階違いで200万円UP

海とレインボーブリッジが見える東向きの部屋が当物件の売りであることは残念デベロッパーの東急不動産でも認識できているようで、眺望が期待できる18階以降は階が1つ上がるごとに+200万円というとんでもない価格設定にしています。恥も外聞も無い東急不動産の銭ゲバ体質が露呈していて微笑ましい限りです。

こんな残念デベロッパーから坪単価500万円もするマンションを購入するのは東南アジアの露店でROLEXを購入するくらい勇気がいる行為だと感じます。個人的には沢尻エリカにキスでもされない限り当物件を購入するのは不可能です。

試算結果

入居時 :価格8,520万円、売却8,520万円(坪単価510万円)、収支±0万円
5年後  :残債7,439万円、売却7,115万円(坪単価427万円)、収支▲324万円
10年後:残債6,324万円、売却6,493万円(坪単価389万円)、収支+169万円
15年後:残債5,158万円、売却5,870万円(坪単価352万円)、収支+712万円

周辺相場はグローバルフロントタワー(駅徒歩10分/築5年/56m2/南向き低層階)が7,490万円(坪単価442万円)、芝浦アイランドグローヴタワー(駅徒歩8分/築14年/54m2/北向き超高層階)が6,180万円(坪単価378万円)でSUUMOに出ています。売り出し価格は5〜10%程度の上乗せをしているので15年後に坪単価350万円程度になるとみておけばいいでしょう。

結果を見ると10年後で残債割れを回避できるかどうかという渋い結果になりました。0.8%の超低金利が15年も続くうえに、コロナショックの影響は加味しないという甘い前提ですらこの結果です。コロナショックが長引いて景気後退に陥れば2年後の入居と同時に収支がマイナスになるリスクがあります。

また、売買時の諸経費を考慮すれば実質的なマイナスになりますので好ましい結果とは言えません。試算結果はプラスですが物件価格からしてみれば誤差のようなものです。ここは慎重に判断して落第とします。

>> 中古マンションにも目を向けて欲しいです。

>> 無理のない予算を知りたい方はこちらをどうぞ。

チェック6:家賃よりも安いこと→落第(補欠)

※ 当項目は賃貸との優劣を判定します。

グローバルフロントタワーの部屋(駅徒歩10分/築5年/33階/62m2)が家賃28.0万円、管理共益費2.0万円の計30万円でSUUMOに掲載されています。評価対象の部屋55Cよりも駅距離こそありますが高層階で7m2も広いので比較相手として不測はないでしょう。

結果は微妙に購入の方が有利ではありますが既に触れたように資産価値の変動リスクを背負うには小さすぎる優位性です。チェック5と同様に慎重に判断して落第とします。

購入の場合

支払額    23.3 万円(10年固定0.8%)
管理費修繕費   3.5 万円(仮)
固定資産税    1.5 万円(仮)
諸経費         5.0 万円(往復)
専有部修繕費  1.0 万円
ローン控除     ▲3.3 万円
10年後の価値 ▲1.4 万円(お金が戻ってきます)
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合           計     29.6 万円(10年平均)

賃貸の場合

家賃    30.0 万円
諸経費       2.8 万円(敷礼金・更新料・保険料等)
=====================================
合        計   32.8 万円(10年平均)

>> マンションを購入しないという選択もあります。

購入と賃貸

>> 金利は固定金利の方が安心です。

>> 手付金は満額払ってはいけません。

チェック7:目立つこと→落第

※ 当項目は売却時に指名買いが発生するかを判定します。

マンション価格高騰のこの時期に新築マンションを購入するのであれば地域No.1のマンションを購入しなければなりません。しかし、当物件は規模やブランドなど様々な点で周辺のマンションに劣るため当項目を合格にはできません。当物件が中古市場で唯一誇れるのは築浅であることのみです。

また、ブランズタワー豊洲は東急不動産のレガシーとして今後も折に触れてマスメディアに登場しますが、当物件はそのような援護射撃があるかは不明です。諸々の状況を踏まえると当物件が中古市場で指名買いされるようなマンションになると想像することができません。よって落第と判断します。

当物件の資産価値を気にされている方は築10年を経過してもなお当物件を買いたいと思えるか考えてみることをお勧めします。芝浦地区の中古マンションを何部屋か見学してみるとイメージが湧いてくるはずです。

チェック8:柱が室内に食い込んでいないこと→合格(補欠)

※ 当項目は建物の設計の贅沢さとデベロッパーのヤル気を判定します。

当物件の間取り図を見るとブランズタワー豊洲よりまともな部屋が多いことに気づきます。モデルルームを見るとそれは確信に変わります。高い天井、ワイドスパンの間取り、クリアで視界が抜けるベランダのパネルなどブランズタワー豊洲の不満点の多くが解消されています。

比較対象のレベルが低すぎるというツッコミもあるかもしれませんが、同時期の同じデベロッパーの物件ですので比較対象とするのは当然です。もちろん一部には残念な間取りもありますし、昨今のタワーマンションと同様に下がり天井は目立ちます。この下がり天井は当物件がデベロッパー渾身の物件ではないことを示唆しています。

それでも当項目を落第にするまでには至りません。予想外の健闘にを素直に称えて補欠での合格とします。補欠にしたのは残念な間取りも一定数存在するからです。

チェック9:洗面所の入り口が廊下にあること→合格

※ 当項目は建物の設計の贅沢さとデベロッパーのヤル気を判定します。

頓珍漢な残念デベロッパーである東急不動産ですが、港区のタワーマンションで洗面所をリビングインにしないだけの最低限のモラルはあったようです。間取り図を見れば当項目に関しては文句なく合格になります。

>> 間取りについてはこちらをご覧ください。

チェック10:家族の思い→落第

※ 当項目は評価者の個人的価値観を満たすかを判定します。

私にとって芝浦は特別な縁はなく、交通利便性も生活利便性も歓楽性も今住んでいる街よりも劣るためわざわざ住み替える理由がありません。田町駅周辺の再開発にも何ら惹かれるものはありません。よって当項目は落第とします。

一方で慶応仲通り商店街は嫌いではありません。すでにお気に入りのお店も見つけて再訪してもいます。芝浦に住む理由はないけれど三田であれば話は別というのが私の思いです。

しばらくは三井不動産が手がける三田一丁目計画を虎視淡々と待ち続けることになるでしょう。坪単価1,000万円とも噂される価格が今回のコロナショックで少しでも下がってくれると嬉しいです。

結果

結果は40点となりました。「再開発計画が目白押しの山手線の駅徒歩圏に建設される港区のタワーマンション」という最高の肩書きを持つマンションがこの体たらくに終わるとは驚きを隠せません。

立地を改善することはできませんが、価格と商品企画はもっと工夫できたはずです。確かに間取りは悪くありませんが、マンションとしての魅力は皆無です。東急不動産の無能さをみごとに証明した結果と言って差し支えはないでしょう。

ただし、このレビューはチェック5と6の価格の判定を慎重にしています。チェック10の家族の思いは完全な個人の主観です。人によっては、また甘めに採点すれば70点にまで点数が上昇します

この甘めに採点すれば70点、厳しく採点すれば40点になる振れ幅こそが途切れることなくレビューの依頼が届く原因なのでしょう。当物件を検討される方も当物件が合格レベルだとは思っていないのです。

個人的にも仮に当物件が流れ山おおたかの森あたりの郊外に建設されたのならもう少し興味が湧いたと思います。津田沼ザ・タワーが当物件だったら買ったかもしれません。決して悪いわけではありませんが、当物件は港区のマンションとしては平凡すぎるのです。

総評

過度な再開発信仰は危険

駅近信仰、職住近接信仰などマンション選びのトレンドがあります。そのトレンドの一つに再開発で買い値より上昇する過去の事例が生み出した「再開発は買い」という再開発信仰があります。

読者の方からも「○○は再開発で10年後には武蔵小杉みたいになりますよね」や「○○は開発が続くので資産価値は鉄板ですよね」というお問い合わせを多数いただきます。

日本は憲法で信仰自由が認められていますので私に信仰を否定する権利はありませんが、個人的には将来を担保に割高な現在の価格を正当化するのは間違っていると考えます。

将来の価値は割引かれて現在の価格にしなければ筋が通りません。現在の価格が将来の価格を先取りしては意味がないのです。セルフサービスなのにサービス料を取られるようなものです。

ましてや最寄駅ではなく隣の駅、つまり品川駅や高輪ゲートウェイ駅の再開発をもって当物件の価値を計測するのは愚の骨頂です。この論法が成り立つのであれば丸の内や大手町に近い神田・日本橋は坪単価700万円くらいになってもおかしくないはずです。

また、そもそもの話ですが田町駅の再開発にはどれだけ価値があるのでしょうか。正直なところ微妙です。確かに既にお住まいの方にとっては便利になるので価値はありますが、わざわざ他の街から引越しするまでの価値はないと感じます。

特徴がないマンション

今回のレビューは書くことがなく苦労しました。私はプロのライターではないのでお金がモチベーションになるわけもなく筆が全く進みませんでした。

20,000文字を超えたプラウドタワー亀戸クロスのレビューに対して当物件の文字数は10,000文字という結果がその証明になります。すべては当物件の立地にも建物にも特徴がないことが原因です。(10,000文字はやる気がない人間が書く量なのか?)

「再開発計画が目白押しの山手線の駅徒歩圏に建設される港区のタワーマンション」という最高の肩書きを持つにもかかわらず全く心を揺さぶられない無味乾燥で平凡な新築マンション、これが私の当物件に対する素直な評価です。

スターウォーズの最新作「スカイウォーカーの夜明け」をご覧になられた方なら私の言いたいことをご理解いただけるかと思います。超豪華なのに全く記憶に残らない映画です。多くの観客がこの映画を見たことすら忘れていることでしょう。

なお、スターウォーズで主要人物を演じたオスカー・アイザックやアダム・ドライバーが出演している「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」は反対に記憶に残る映画です。

いまは株式を買うべき

仕事もせず毎日為替相場で遊んでいる人間からひとつの提案をさせてください。当物件を契約するよりも契約に必要となる手付金で株式を購入することをです。株式は伸び代の大きい米国株式S&P500がいいでしょう。

いまの住居に不満があってどうしても引っ越しをしたい人もいるかもしれません。それであれば現在の住居に対する不満を解消できる賃貸に引っ越して、引っ越し代を引いた残りで株式を購入すればいいでしょう。そうすれば住居への不満は解消され、おまけに投資額が増加して当物件を購入するよりお金が増えるのです

株式は膨張するしかなく最高値はいつの日か必ず更新されます。わざわざ立地も建物にも特徴がない残債割れリスクのあるマンションをコロナショックで景気後退の可能性があるこの時期に手付金を満額払って契約する必要はどこにもないのです。

株価が戻らなければ不動産価格は下がる

2年後も株価が回復していないことを心配されているのなら心配無用です。株価と不動産価格に連動性があるのはご存知の通りです。当物件は史上最高値の株価の時に販売開始された芝浦地区史上最高値のマンションです。

もし2年後の株価が冴えなかったとしたら当物件の引き渡し時の資産価値は買値よりも下がっているでしょう。要は株価が回復しなければ当物件を契約しても損をするということです。

リバウンドしたら儲かる可能性がある株式に投資するのか、株式がリバウンドしてもプラスマイナスゼロのスタートに立つだけの当物件に投資するのか、嵐が過ぎ去るまで現金で保持するのか、お金の使い方はその人の自由ですが吟味はしたほうがよいでしょう。

マンション買いたい病の処方箋

もちろんマンションは金融商品ではありません。家族の意向などで賃貸ではなくマンションを購入したい人もいると思います。その方に向けた処方箋を記します。いますぐ当物件周辺の中古マンションを購入することです。

当物件の引き渡しが約2年後であることを忘れてはいけません。例えば上述のグローバルフロントタワーの中古を購入すれば残債を約2年分(358万円)も減らせることができます。2年間で減少できる残債の金額や2年後の金利上昇リスクを考慮すれば、当物件の引き渡しを待つ理由は何一つありません

特に金利は悪性の上昇をする兆候が出ています。上昇した金利で地区史上最高値のマンションを購入したうえに資産価値が下落するという地獄絵図はどんなスプラッター映画よりも目を背けたくなります。付け加えると総支払額の関係から金利が上昇したら不動産価格は下がると言われています。引き渡し前から資産価値が下落する可能性すらあるのです。

個人的にはこの経済状況下で当物件を契約するのは石が入ったシュークリームに思いっきりかぶりつくくらいの勇気が必要だと感じます。もちろん沢尻エリカのキスがあれば話は別です。

なお、現金一括で購入するから金利の影響は関係ないと自称お金持ちがたまにいますが、残債割れリスクのあるマンションを購入すること自体が問題なのです。その手元のお金が自分の能力で獲得したものでないことをわざわざ宣言する必要はありません。

どうしても当物件を買う場合

好き勝手に書いてきましたが、既に指摘したように当物件は40点にも70点にもなる振れ幅の大きいマンションです。限られた予算だけれど絶対に港区の新築マンションが欲しい人にとっては大いに悩ましい物件であることは理解しています。

もし当物件を契約するのであれば保険として「物件価格10%に設定されている手付金の減額」を必ず行ってください。2年後の引き渡し時に不動産価格が暴落しても手付金を放棄すれば契約破棄ができます。手付金を減額しておけば致命傷にならないで済みます。手付金の減額については以下の記事をご参照ください。

なお、残念デベロッパーの東急不動産ですが金勘定に関しては一人前です。おそらく手付金の減額はなかなか認められないでしょう。購入者の利益は販売者の不利益だからです。もし手付金の減額が認められないのであれば当物件を契約するのは止めるべきです。

繰り返しになりますが、わざわざ立地も建物にも特徴がない残債割れリスクのあるマンションをコロナショックで景気後退の可能性があるこの時期に手付金を満額払って契約する必要はどこにもないのです。ピルクルでも飲んで少し冷静になるべきです。

終わりに

お疲れ様でした。すでに販売が始まり、方々で退屈なマンションとの評価が定まっているマンションのレビューをいまさら公開することに何の意味がないのは理解しています。それでも所々には真摯な提言をちりばめたつもりです。乾いた雑巾を絞るように言葉をひねりだした当レビューが誰か一人の心にでも刺さることを願っています。

かなり渋い論調になってしまいましたが、当レビューはあくまで私の個人的な見解です。ですから当物件を検討している方は、当レビューを始めネット上の評論を読み、自分自身で納得するまで調べ上げてください。

そして、最終的にはご自身の判断を大切にしてください。他人の意見は参考にしてもいいですが、従ってはいけません。他人の勧める株を買って金持ちになった人はいないのです。

なお、当物件の購入を決意されたとしても、一度は不動産コンサルタントに相談してみてください。見落としている事実があるかもしれませんし、何も見落としがなければ安心して契約できると思うのです。多くの読者の方が不動産コンサルタントに相談して納得のいくマンションを購入されている事実を目の当たりにして、改めて強くそう思います。

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。今月はもう1本記事を書きます!!

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