ルンバがなければ無価値 ブラーバジェットm6

画像元:公式HP

はじめに

こんにちは、餅つき名人です。すっかり斜陽ブログと成り果てた当ブログですが、安定的に来訪者があるのは家電レビューのカテゴリです。今日は久しぶりに家電レビューの新作を公開いたします。

さて、私はマンションよりも家電が大好きです。特にテレビが好きでブラウン管、液晶、プラズマ、有機EL、プロジェクターと数々のテレビを購入しています。中でもPIONEERのプラズマテレビ(KURO)は2台、SONYの有機ELテレビ(XEL-1)は3台購入しています。

私がどれだけ家電好きかはわかる人にはわかっていただけるかと思います。これまでの人生でテレビだけで400万円以上は散財しています。その他にもデジカメ、HDDレコーダー、炊飯器、掃除機、AVアンプ、スピーカーなど興味が湧いた家電はお財布が許さなくても購入してきました。もちろん自腹です。

このカテゴリ「家電レビュー」では家電メーカーに飼いならされた家電ライターや家電芸人では書けない本当のレビューをお届けします。もちろん、巷に氾濫するアフィリエイト狙いの絶賛しかしないレビューとも異なります。容赦無く「絶対買ってはいけない」と酷評します。

それでは、短い時間ですがお付き合いいただければ幸いです。

>> 絶対買ってはいけないと酷評された家電。この家電を絶賛しているブログやYouTuberは要注意です。

本日の家電

Twitterで告知してから数ヶ月の間が空きましたが、今回レビューするのは床拭きロボットの代表家電である「ブラーバ ジェットm6」です。

3年前の初代のブラーバである「ブラーバ380j」のレビューからどれだけの進化を遂げたのか興味があり、ちょうど3月の円高祭りで小銭ができたこともあり購入にいたりました。

ブラーバ380jのレビューで「もし広範囲に対応するブラーバの最新機種が発売されるのであれば喜んで発売日に購入します」と書いたようにブラーバの「全部屋をワンストップで掃除できない」という最大の欠点がどれだけ解消されたのかが最大のチェックポイントになります。

また、我が家には「ルンバ i7」も鎮座しており、ルンバ→ブラーバの高額家電コンビのコンビネーションがどれだけ部屋を綺麗にしてくれるのかも気になるポイントです。ルンバにはゴミは取れても汚れは綺麗にできないという最大の欠点があるからです。

一方で「ルンバ i7」と「ブラーバ ジェットm6」の2台を購入すると合計で18万円もします。18万円は私にとっては1ヶ月分の飲み代に匹敵する大金です。これだけの身銭を切ったのですから遠慮はしません。早速レビューをしてみたいと思います。

購入を決めた背景

全部屋ワンストップで掃除できない

すでに序文で指摘していますし、ブラーバ380jのレビューでも指摘している通りです。ブラーバ380jは掃除範囲が狭いので1回の動作で全部屋を掃除できません

以前住んでいた錦糸町のマンションだと25畳のリビングを掃除するのに2回、洋室2部屋で2回、廊下で1回、計5回もブラーバを動作させる必要があります。しかもその都度、ブラーバを手で掃除させたい場所に移動させないといけないのです。

さらに洗面所やトイレや玄関は手動でクイックルワイパーをかける必要があります。これでは手動でクイックルワイパーをかける手間と大差ありません。ブラーバ380jは広い部屋では役に立たない代物だったのです。

この欠点は都心のマンションに引っ越しても変わりません。部屋の広さこそ少し狭くはなりましたが1回で全部屋を拭き掃除できないのです。ロボット掃除機が掃除している時に目を離すことができないという光景はサンドウィッチマンのコントに出てきそうなシュールさです。

ニッケル水素電池の寿命

ブラーバ380jが無用の長物だったこともあり、しばらく使用せず放置していました。久しぶりに使ってみようと充電をして稼働させたのですが、すぐにバッテリー切れになって1部屋ですら掃除を完遂できなくなってしまいました。

これは、ブラーバ380jがニッケル水素電池を採用していることが原因です。ニッケル水素電池は使い切らずに継ぎ足し充電で使い続けると、本来の容量を発揮できなくなるメモリー効果という問題を抱えていますし、リチウムイオン電池に比べて長期間放置すると想像以上に劣化してしまうのです。

結局、ブラーバ380jは未完成品だった

つまるところ、1回で全部屋を掃除できず、問題の抱えたニッケル水素電池を採用したことで使えば使うほどバッテリーの持続力が衰えるという問題を抱えたブラーバ380jに部屋掃除を任せるのは無理だったということです。

>> 未完成品だったブラーバ380jのレビューはこちら

ルンバi7に対する不満

ゴミは取れるが汚れは取れないと結論づけたレビューの通り、ルンバでは汚れを綺麗にすることはできません。ゴミと汚れを同時に掃除するにはルンバとブラーバを組み合わせなければならないのです。もしくは最初からクイックルワイパーを使って人力で掃除するかです。

ルンバが掃除した後にクイックルワイパーをかけるたびに当製品が欲しくなるのは私だけではないようで、何人かの読者の方から同様の感想をいただいています。つまり、ルンバだけでは満足のいくお掃除体験は実現しないのです。

>> かゆいところに手が届かないルンバi7のレビューはこちら

使ってみて感じたこと

Good:汚れが落ちる

論より証拠でしょう。下の2枚の写真を比較してください。

ルンバi7掃除後
ブラーバジェットm6掃除後

1枚目がルンバi7で掃除した後に使用したクイックルワイパー。2枚目がルンバi7の次にブラーバジェットm6(以後:当製品)で水拭き掃除をした後に使用したクイックルワイパーです。

画像の大きさが異なるのはご愛嬌として、2枚目のほうが汚れが少ないのがはっきりと確認できます。つまり当製品はルンバi7では掃除しきれなかった汚れを綺麗にしてくれているということです。

一方で2枚目でもクイックルワイパーの左上は汚れています。この後にBadとして指摘しますが壁際や部屋の隅は掃除しきれていないこともよく分かります。

それでも、自動でこれだけ綺麗に掃除をしてくれることに一定の価値はあります。真ん中から右側にかけて汚れがほとんど見当たらないのは当製品の掃除力に疑いの余地がない証拠です。

Good:全ての部屋を1回で掃除してくれる

ブラーバ380jの最大の不満が当製品では解消されています。各部屋のドアさえ空けておけば1回で全部屋を拭き掃除してくれるのです。もちろんトイレや洗面所もです。

1回ボタンを押すだけで疑いのない掃除力で全部屋を拭き掃除してくれるのですから、床拭きロボットとしての基本性能は完成の域に到達したと言ってもいいのかもしれません。

Good:ルンバより広い掃除範囲

当製品の掃除範囲はルンバi7よりも広いことが使ってみてわかりました。その原因は本体サイズにあります。

ルンバi7のレビューで「本体サイズ(横幅)が大きい」ことをBadポイントとして指摘していましたが、この欠点が解消され我が家のベッドと壁の隙間もブラーバジェットm6なら掃除をしてくれるのです。

ロボット掃除機においては小さいことは正義です。ロボット掃除機の機能はすでに完成しつつあるので今後は小型化がポイントになるのでしょう。アイロボット社が開発したクリーンベース(自動ゴミ収集機)は小型化の一助になるはずです。

ただ、後述するようにルンバとの連携時になると不安定な掃除範囲になるのは残念な点になります。

Good:専用アプリの完成度

ルンバi7のレビューでGoodポイントとした完成度の高いアプリが当製品でも用意されています。

掃除の開始から終了の報告、掃除履歴の確認、タイマーの設定、エラーの通知、掃除する部屋の指定などあらゆることがスマホの専用アプリで行うことができます。

十分な掃除力と本体に触れずに部屋中を隅から隅までキレイに掃除してくれる当製品に大きな欠点は見当たりません。ルンバ i7と同様にロボット掃除機として早くも完成の域に達したと言っても過言ではないでしょう。

Bad:ドライパッドは性能不足

そんな完成度の高い当製品ですがいくつかの欠点があります。

当製品はゴミ掃除をするドライモードと拭き掃除をするウエットモードがありますが、付属のドライパッドの性能不足によりドライモードが使い物になりません。ドライパッドだとゴミを吸着せずゴミを別の場所に撒き散らすだけだからです。

髪の毛や細かく砕いたティッシュペーパーを部屋のあちこちに設置して当製品のドライモードで掃除させてみればこの指摘が嘘ではないことがわかります。開き扉の小さな段差やベランダに出る窓の段差にティッシュペーパーが残されているのです。

一方でルンバはゴミを吸い取るのでこのようにゴミを撒き散らすようなことはほぼありません。餅は餅屋、ゴミ掃除はルンバに任せるのが正解なのかもしれません。

ただ、当製品だけでゴミもある程度は掃除したいと考えるのは当然です。この欠点を少しでも解消する方法は抜群のゴミ吸着性をほこるクイックルワイパーのウエットシートを使用することです。

Bad:クイックルワイパーが使えない

しかし、当製品ではドライモード(乾拭き)でクイックルワイパーが使えないのです。初代の床拭きロボットのブラーバ380jではクイックルワイパーが使えただけに信じられません。

クイックルワイパーを使って人力で掃除をすることがフローリングの部屋を最も効率的に綺麗にできる掃除方法だと私は考えています。ですからドライモード(乾拭き)でクイックルワイパーが簡単に使用できないことは当製品の大きな欠点になります。

初代の床拭きロボットのブラーバ380jなら普段はクイックルワイパーを装着してドライモード(乾拭き)、しっかり掃除したい時にウエットモード(水拭き)と使い分けができたのです。

しかし、当製品ではウエットモード(水拭き)しか使いません。前述したように専用のドライパッドだとゴミが吸着しないからです。ゴミがパッドに吸着しないと小さな段差や方向転換のたびに集めたゴミを巻き散らかすことになるのです。

下の画像のように余計な部分をカットして包帯留めを使うという工夫をすればクイックルワイパーが使えなくもないのですが、その手間や不意に外れた包帯留めで床を傷つけるリスクを考えるとクイックルワイパーが常用できるという判断はできません。かぎ爪がついた包帯留めを逆さまにしてロボット掃除機が部屋中を動き回ったあとの惨状を想像したら、積極的に包帯留めを使う気にはなれません。

クイックルワイパーを確信犯的に使用不可にした理由は、専用のクリーニングパッドで小銭を稼ぎたいメーカーのたくましい商売人根性です。しかし、この商売根性が原因でユーザーの利便性が損なわれ、当製品の評価が下がってしまうのですから、本末転倒です。自社の利益を優先させたメーカーが辿る末路は衰退しかない事は古今東西の歴史が証明しています。

ユーザーの利便性を高めるためにメーカーは専用のクイックルワイパーを用意すべきでしょう。それができないのならクイックルワイパーが装着できるパッドを用意すべきです。借金して自社株買いをするような文化の国の企業ですから仕方ないと言えばそれまでですが、ユーザーの利便性よりも金儲けを優先するメーカーの姿勢は当製品の最大の欠点です。

対処療法

クイックルワイパーは使えませんが、ドライモードで使用するドライパッドにお気に入りの洗浄液を染み込ませることで代替手段にはなります。もしルンバi7を購入せず、当製品だけでゴミ掃除をしたいのであればこの方法は有効でしょう。

また、部屋のあちこちに後ほど紹介する電解水をスプレーしておけばドライパッドが乾くこともありません。もちろん、ここまでしないと使い物にならないドライモードが当製品のBadポイントであることに変わりはないことにご注意ください。

Bad:専用の消耗品が割高

とにかく当製品はユーザーに専用の消耗品を買わせることを徹底しています。そして専用の消耗品はドラッグストアで購入できる類似品と比較してかなり割高です。

また、専用の消耗品を使用する必要がない場合もあります。例えばウエットモードで部屋を綺麗にするには超割高な専用の洗剤を使用することを推奨していますが水だけでも相当に綺麗に掃除されます

もし洗剤を使用したいのであればドラッグストアで販売されている洗剤を代用すればいいだけです。メーカーは保証対象外などと脅してきますが、目詰まりを誘発する泡状の洗剤ではなくアルカリ電解水の洗剤を使用すればいいのです。もちろん専用品の価格に納得がいくのであれば専用品がいいことは言うまでもありません。

Bad:部屋の隅は汚いまま

ブラーバジェットm6掃除後

すでに指摘しているように、当製品で掃除後にクイックルワイパーで掃除をしたところ左上が汚れで黒ずんでいました。これは当製品は部屋の壁際や隅を綺麗に掃除できないことの証拠になります。その原因は縁が丸くなって厚みもあるパッドの構造にあります。一方のクイックルワイパーは薄いシートなので自然と壁際まで掃除ができるのです。私がしつこいくらいクイックルワイパーに固執するのは理由があるのです。

また、ロボット掃除機で掃除する場合、ロボット掃除機の動線を確保するため各部屋の扉を開け放つ必要があります。この開け放たれた扉の裏側などの死角もまたロボット掃除機は掃除することができません

つまるところ、当製品で拭き掃除をしたとしても結局はクイックルワイパーを使って手動で掃除することなるのです。部屋の80%を綺麗にしてくれる床拭きロボット掃除機に7万円も払う価値があるかと問われたら、渋い赤ワインを飲んだ時のような表情になるのは私だけではないはずです。

Bad:段差に弱い

拭き掃除という機能に特化している以上、段差に弱いのは仕方がないところではあります。ラグや敷畳など小さな段差を乗り超えてしまうと、せっかくモップでとらえたゴミや汚れが段差で削ぎ落とされてしまうからです。欠点でもあり長所でもあります。

我が家の居住空間は完全にフラットなので問題はありませんが、部屋の構造上の都合で小さな段差がある部屋にお住まいの方だとこの段差に弱いという欠点は気になることでしょう。段差の向こう側のエリアは掃除されないとなるとボタンを1回押すだけで全部屋が掃除されるというロボット掃除機の価値を100%享受できなくなるからです。

Bad:ルンバとの連携が不安定

ルンバ→ブラーバの連携は当製品の大きな売りのひとつです。しかし、この連携が正しく機能しないことが散見されます。具体例としてはルンバの掃除が終わった後のブラーバの掃除がごく一部のエリアしか実施されない、ブラーバ単体だと掃除されるベッドと壁の隙間がルンバとの連携だと掃除されない、などです。

このような経験をしたことから、アプリから掃除完了の通知が届くとわざわざ全部屋がきちんと掃除されたかお掃除履歴で確認する癖がついてしまいました。メーカーが一押ししているルンバ→ブラーバの連携において、スイッチを1回押すだけで全部屋が確実に掃除されるわけではないという事実を18万円も払った後に知った時のショックは相当なものでした。

総評

結論:当製品単体では性能不足

これまで指摘した点をまとめると、当製品は単体で使用するのは性能不足であるとの結論に至りました。汚れは取れてもゴミは取れないからです。ゴミ掃除に効果的なクイックルワイパーは使えないですし、ルンバi7との併用を前提とした製品設計は悪意に満ちています

結局のところブラーバ380jを改良するだけでよかったのです。ニッケル水素電池からリチウムイオン電池に変更し、全部屋を掃除できるようにして、最新のアプリに対応するだけでよかったのです。そうすればクイックルワイパーが使えてブラーバ1台だけで済んだのです。

当製品はブラーバ380jの欠点を改良すると同時に長所が改悪された中途半端なロボット掃除機です。そして、このような残念な製品になってしまった原因はルンバや専用品を買わせようとしたメーカーの金儲け主義であることは明らかです。

オススメ度(☆:星1つ、ルンバi7を持っている人にだけオススメ)

当製品は金に目がくらんだメーカーがルンバi7と合わせて使用することを半ば強制してくるロボット掃除機であることが判明しましたが、ルンバi7との組み合わせは決して悪いものではありません。

ルンバでゴミや埃を取り除き、当製品で汚れを拭き取るコンビネーションは2020年でもっとも手軽に部屋を綺麗にする手段なのはクレーマー気質の私でも認めざるを得ません。外出先でアプリのボタンを押すだけで全部屋をゴミ掃除と拭き掃除してくれる快適さは捨てがたいものがありますし、大いに活用してそのメリットを享受しています。

ただし、18万円もの出費が必要になることは声を大にしたいところです。さらに当製品の実力を発揮するには部屋がオールフラット(段差がない)であることという条件も忘れてはいけません。

結局のところ、100m2のオールフラットの部屋に一人で住んでいて、さらにすでにルンバi7を保有している極めて限られた人以外にとっては当製品は無用の長物なのです。ゴミが取れないので単体での使用価値はほとんどありません。前述のように強制的にクイックルワイパーを着用し毎日掃除をするのなら当製品だけでも実用に耐えますが、包帯留めが外れた際のリスクを許容する必要があります。

どうしてもロボット掃除機が欲しいというのであればルンバi7を検討すべきです。当製品はルンバi7を買った後に無駄遣いがしたくなった時に検討する程度の代物です。ブラーバはダウンライトやエコカラットなどのマンションのオプションみたいな位置づけだと理解していただければいいでしょう。要するにそれ単体では無価値だということです。

終わりに

お疲れ様でした。このレビューがブラーバジェットm6をはじめとしたロボット掃除機を検討されている方の判断の一助になれたのならこれ以上の幸せはありません。気になることがあればコメント欄から遠慮なくご質問くださいね。

それでは、最後までお読みいただき本当にありがとうございました。次回は久しぶりにマンションレビューを予定しています。読者の方へのコメント返信で記載しているとおり「間取り」「価格」「管理・修繕費」の情報を提供いただければマンションレビューを書きますのでリクエストがあればお気軽にご連絡ください。