第70棟目:SHIROKANE The SKY(白金ザ・スカイ)

本日の物件

こんにちは、餅つき名人です。本日レビューする物件は「SHIROKANE The SKY(白金ザ・スカイ)」です。

当ブログで「マンションなんて交通利便性と駅距離と希少性が分かれば買っていいか判断ができます」と述べていますが、当物件もまたその例外になく計画が発表された時点で買ってもいいマンションだとほぼ判断できます。

問題は価格です。建設地が豊洲であれば手がとどく範囲であることは推測できますが、下町情緒があるとはいえ当物件の建設地はマンション立地の頂点に君臨する港区です。さらに、当物件は商業施設が併設される大規模再開発タワーマンションですから価格がいくらになるのか想像もつきません。

一応、ブランズタワー豊洲のレビューでは坪単価700万円と予想をしていましたが果たして当物件の価格はいくらになったのでしょうか。予想した坪単価700万円は個人的に割高と判断するボーダーラインでもあります。

Twitterをご覧いただいている方はご存知かと思いますが、オープン初日にマンションギャラリーを訪問してきました。見学から1ヶ月も間が空くのは当ブログのお約束でもありますが、最終的な判断をするための欠かせない価格と仕様を踏まえてレビューしていきます。

>> 大好評のブランズタワー豊洲のレビューはこちら

お断り

当レビューは「夜遊びが大好きなサラリーマン(40代・バツイチ・都心在住)の私が買いたいか」という個人的主観が評価基準です。マンションに求める条件は十人十色であり、私の評価基準が皆さんの評価基準と異なって当然です。

「離婚するような人間の言うことは信用できない」「錦糸町に住んでいる人間が偉そうなことを言うな」など心温まるご意見を頂戴することもありますが全くもってその通りです。もし私がすでに再婚していて子供がいても、実は錦糸町ではなく両国に住んでいたとしてもです。

ですから、当レビューの結果が気に食わなくてもご自身の評価基準で合格であれば迷うことはありません。他人が推奨する株を購入して金持ちになった人間がいないのと同じです。

他人が言うことを気にするのは自分の判断に自信がないことの裏返しでしかありません。当ブログの記事に悪態をつくよりもやることがあるはずです。当ブログの素人レビューを信じてしまう方がいるのであらかじめお断りしておきます。

>> レビューで使う評価軸はこちらをご覧ください。
>> モデルルームに行く前にこちらをお読みください。
モデルルーム

得点

チェック1:東京・品川・新宿まで30分程度→合格

※ 当項目はどれだけ便利な駅なのかという最寄駅の駅力を判定します。

最寄り駅の白金高輪駅から東京駅まで21分、品川駅まで14分、新宿駅まで21分ですので合格です。どの駅にも20分程度で到着できるのはさすが山手線内側のマンションです。

ただ、白金高輪駅は東京メトロ南北線・都営三田線という都営新宿線レベルの地味路線しか通っていないため必ず乗り換えが発生するのは個人的にマイナスです。

主要駅に乗り換えなしかつ20分程度で到着することが望ましいですがそんな駅は山手線沿線の駅しかありませんのでこの点は我慢するしかありません。

チェック2:食べログの店舗数400件以上→落第

※ 当項目は飲食店の数で駅力を測定し、売却時の客付きを判定します。

白金高輪駅で検索したところ333件の結果でした。定量的に評価するなら落第ですが、食べログの検索結果を見ると店舗数をかさ上げする庶民店であるラーメン屋や焼き鳥屋、大衆居酒屋、チェーン店が少ないので合格に匹敵する結果とも判断できます。

ラーメン屋が多い街は要注意

特に私が嫌悪施設とみなしているラーメン屋がほとんどないのは大変に好ましいです。これまで多くの街の現地調査をしてきましたが、街の規模に対してラーメン屋が多い街はもれなくパチンコ屋も多いという特徴があります。

ラーメン屋とパチンコ屋はキャプテン翼の翼くんと岬くんのような切っても切れない間柄であり、自然と街の雰囲気を悪くします。街の規模に対してラーメン屋が多い街にまともな街はないは私の偏った持論ですが、賛同してくれる方は意外と多いのです。

寿司屋が多いのは高評価

一方で寿司屋が多いのはプラス評価になります。寿司屋の数とレベルはその街を評価する際の重要なポイントです。

別に寿司屋に行く人間が上等だと言いたいのではありません。寿司屋にたむろするいけ好かない人間は存在しますし、そのような輩が店内に入れば私は即座に店を出ます。

ただ、寿司屋がきちんと成り立つ街は歴史と活気が両立したいい街が多いとのこれまでの現地調査の経験則です。もちろん寿司屋とは個人経営が条件です。回転寿司屋は寿司ではありません。回転寿司はサイゼリヤと同様のファミレスです。

蕎麦屋が多い街も良い街

また、蕎麦屋も同様です。蕎麦屋を綺麗に使いこなせるの住民がいる街も良い街です。

名店と言われる蕎麦屋の店主が「最近の客は蕎麦だけしか注文しないんだよな。一杯飲んでくれると経営が楽になるんだけどな。」と嘆いていました。「何を注文するかは客の勝手だろ」と考えるのももちろん自由です。客が店に忖度する理由などこれっぽちもありません。

ただ、蕎麦は手間の割に儲からないメニューであり、お店が成り立つにはお酒やサイドメニューの注文が必要なのです。そして蕎麦屋で働く人の多くは客と同じ街の住人でもあります。個人店で食事をするならある程度の金額を落とすのは客としてのマナーなのです。

この「ある程度の金額をきちんと使える」客層こそが蕎麦屋を成立させる欠かせない要素であり、この客層がいる街はいい街だという話です。つまり白金高輪駅周辺はいい街の可能性が高いと判断できるのです。

夜の現地調査はイマイチ

夜の現地調査はモデルルーム見学後の密かな楽しみの一つです。建設地周辺をひたすらに歩き回り疲れはてた体に染み渡る酒の美味さは格別です。夜の蝶(もしくは蛾)がいるお店ならさらに最高です。当ブログの現地に対する辛辣な意見のほとんどが夜の蝶や蛾からの受け売りなのは内緒です。

お店選びはネットは一切見ずにお店の外観だけで判断して決めます。女友達から「絶対に可愛いから」と紹介されて「どこが?」と突っ込んだ経験は男性なら誰にでもあるはずです。ネットの情報も同様です。もちろん当ブログもそのあてにならない情報源のひとつです。

この日は3店ほど飛び込みでお邪魔をしましたが「まずくはないけどこの金額はないな」と感じるお店ばかりでした。

血管の中を総武線の黄色い列車が走っている私にとっては、港区の飲食店はどうしても価格が高く感じてしまいます。よく飲み歩いている日本橋や神田、根津や千駄木と比較しても味と価格のバランスが取れていないように感じます。

一方で、当物件に住んだら飲酒量が減ることは間違いありません。健康を考えればむしろいいことなのかもしれません。

お店の客層は良い

夜の現地調査ではお店にいる客層も忘れてはいけない観察ポイントの一つです。その客層が隣人となるからです。マンションを検討するなら現地の飲食店の客層は絶対にチェックしなければなりません。客層を判断するポイントは外見と喋り方です。特に喋り方は知性そのものなので聞き耳をそばだててチェックしてください。

訪問した3店ともに客層は大変に結構でした。そして、この客層であれば私が少し割高と感じた飲食店の価格など取るに足らない問題なのだとも気づかされました。

白金高輪駅周辺の飲食店には錦糸町にいるAKB(明るい錦糸町のババア)下り坂46(アラフィフの酒しか生き甲斐がない女性)のような客はどこにも見当たらないのです。

1件目のお店で鮮度の悪いエビスビールとマグロのぶつ切りに怒りが込み上げて冷静さを欠いてしまいましたが、飲食店の価格は街の住人の懐具合に比例するという当たり前のことをすっかり忘れていました。

駅前の喫煙所は負の遺産

一方で、白金高和駅3番出口の前にはいまだに喫煙所が設置されており、この街が元々はそういう街だったことを忍ばせます。想像するに路上喫煙者が多いから仕方なく喫煙所を設置したのでしょう。

GoogleMapのストリートビューで喫煙所の画像をチェックすると喫煙所から大きく離れて路上喫煙を楽しむニコチン中毒者の姿を確認することができます。

白金という二文字に特別な印象を抱くのは私だけではないはずです。ただ、当物件周辺はその印象とは異なる一面もあることは認識しておくべきです。

全ては時間が解決する

なお、元々そういう街だった代表格といえば武蔵小杉です。タワーマンションという厚化粧で誤魔化された人たちが大挙して押し寄せていますが、昔から神奈川県にお住いの方から「武蔵小杉に住めだって?金をもらってもお断りするよ。ありえないね。」と言われる街です。

私自身は武蔵小杉にそこまでのイメージはありませんし、そんな過去のイメージが払拭されるのは時間の問題なのは間違いありません。違和感しかない白金高輪駅3番出口の喫煙所もいつか消えて、当物件を皮切りとした再開発を経て、街の雰囲気も変わっていくのだと思います。

当項目は合格に等しい

相変わらずの激しい脱線をしてしまいましたが、杓子定規に評価すれば当項目は落第ですが、個人的には合格でも構わないくらいだと言いたかっただけです。

チェック3:駅から徒歩5分以内→合格

※ 当項目は資産価値の土台となる駅距離を判定します。

当物件から最寄りの白金高輪駅まで徒歩3分なので合格です。

実際に駅の出口からエントランス位置まで歩いてみたところ2分弱で到着しました。白金タワー敷地をショートカットして肉料理店「今福」の前を通ればあっという間にエントランスですから文句のつけようがありません。

現在は当物件が建設中で薄暗いですが竣工後は見違えるほどに明るくなりますので帰宅時の気分の高揚感は相当なものがあるでしょう。惜しむらくは駅直結でないことですが贅沢を言えばキリがありません。

なお、当物件の立派過ぎるエントランスとタワーマンション特有のエレベーター待ち、さらには白金高輪駅の改札までの一駅分とも感じる距離を考えると自宅のドアから電車のドアまで15分はみておいたほうがいいでしょう。

この15分の所要時間を加味すると当物件の実際の交通利便性はそれほど良いとは言えないかもしれません。

チェック4:安定した地盤であること→合格

※ 当項目は地盤の強度を測定し、自宅が非常時の避難場所になり得るか判定します。

当物件は直接基礎です。マンションギャラリーのある泉岳寺駅方面から随分と下る土地ですがそれでも地盤の強さが維持されているとのこと。

盤石の地盤と抜群の交通利便性が両立する新築マンションは滅多にありません。当レビューの冒頭でも指摘したように、スペックだけで判断すれば当物件を買わない理由がないのです。もちろん合格です。

一方で古川の水害についてはマンションギャラリーでしっかりと確認してください。今回のような過去最大級の台風が都心を直撃した場合の影響は大いに気になるところです。

チェック5:残債割れにならないこと→合格(部屋による)

※ 当項目は残債割れのリスクを判定します。

部屋選びが難しい

ブランズタワー豊洲に続いて当物件の部屋選びもまた難易度の高いものです。なぜなら当物件もまた微妙な間取りばかりだからです。

狭い部屋だと、1LDKならE51A(1.1億円)、2LDKならE61A(1.6億円)しか選択肢がありません。当物件の最大の売りであるダイレクトウインドウが必須なのであればE55A(1.4億円)が次点となります。

なお、一部屋しかない間取りはどんなによい間取りでも除外しています。一点ものの間取りを取り上げて評価しても無意味だからです。

3LDK以上の間取りは角部屋を除けば似たり寄ったりの残念な間取りばかりです。特にリビングを通らなければ出入りできない洋室の数々はこの間取りで最低価格が1.7億円とは世も末だと嘆くには十分でしょう。

リビングの一部を廊下代わりにする弊害はリビングが安らぎの場にならないことです。さらにリビングの実用面積が限られ表記よりも窮屈さを感じることにもなります。はっきり言って良いことなど何もないのです。

1億円以上という価格を加味すれば当物件の間取りに対するがっかり具合はブランズタワー豊洲よりもひどいと感じます。どうしてこうなってしまったのかは後述しますが、日露戦争の203高地での激戦に匹敵する地権者との攻防戦の結果だと推測します。もちろん邪推なので本気にしないでください。

なお、間取りの不満はレイアウトオプションで幾分かは解消されることもありますのでこの点もマンションギャラリーで確認が必要です。

素晴らしい眺望

目を覆いたくなるような間取りとは裏腹に、当物件の北向きの眺望は素晴らしいものがあります。ダイレクトウインドウの間取りならこの素晴らしい眺望が足元から頭の上まで広がるのですから言うことなしです。

先にレビューしたブランズタワー豊洲の眺望も悪くはないのですが、当物件の眺望と比較するとまさに月とスッポンほどの格差があります。東京メトロのCMに出ていた石原さとみと川村エミコくらいの格差です。

成長した川村の姿が泣ける動画

眺望が良いという言葉は当物件の眺望のためにあるのでしょう。そしてこの眺望がなんとか二馬力で買える範囲の価格であることは部屋選びの重要なポイントでもあります。

なお、ウエディングドレスを着て呪いのわら人形に杭を打っていた頃を知っている者としては石原さとみと並んでいる川村エミコの姿は涙なしでは見れなかったことも記しておきます。

候補の部屋は1LDKのE51A

話を進めます。今回の評価対象はE51A(北・高層階・51m2・10,780万円)とします。

当物件の最大の売りであるダイレクトウインドウではないのが残念ですが、眼下に東京タワーをはじめとした都心の街並みを一望できる最高に贅沢な1LDKになります。間取りも1LDKとしては文句なしであり、神宮球場のpontaドリームシートくらい贅沢な部屋です。

試算結果

購入時 :価格10,780万円(51m2・坪単価688万円)
5年後  :残債9,397万円、売却9,900万円(坪単価633万円)、収支+484万円
10年後:残債7,964万円、売却9,000万円(坪単価575万円)、収支+1,036万円

周辺相場は白金タワー(駅徒歩1分/築14年/51m2)が8,000万円台で成約していることから試算の精度に大きなずれはないでしょう。

試算結果を確認すると下落率は市場平均の2%を下回る1.7%になりました。正式価格で当初価格から値下げされたことにより5年目から残債割れは回避できる見通しです。

よって当物件の価格は妥当と考えて合格と判断します。1億円の都心物件の10年後の収支が+1,000万円程度で満足できるかは微妙なところです。初期費用500万円を考慮すれば取るリスクに大してリターンが見合わないと感じます。

坪単価600万円台なら合格

流石に価格が高過ぎだと判断したのでしょう、当初の価格から正式価格でかなり価格調整がされました。当初のレビューでサンプルにした3部屋の価格改訂の状況は以下の通りです。

E51A(北・高層階・51m2)11,500万円→10,780万円
E55A(北・高層階・55.89m2)14,800万円→11,680万円
E81B(北・高層階・81.25m2)19,800万円→16,980万円

総じて安全余裕率が高まったと判断できます。これまで落第だったE55AもE81Bも合格に判定を変更します。

>> 中古マンションにも目を向けて欲しいです。
>> 無理のない予算を知りたい方はこちらをどうぞ。

チェック6:家賃よりも安いこと→合格(部屋による)

※ 当項目は賃貸との優劣を判定します。

比較対象はレキシントンスクエア白金高輪(駅徒歩1分/築14年/20階/56m2)です。この価格差と当物件の眺望と新築であることを考慮すれば購入の方が有利と判断できます。よって合格とします。

ただ、相変わらず賃貸に出すと損をする点は注意が必要です。当物件は広い部屋ほど賃貸に出した際の損失が大きくなることも付け加えておきます。

購入の場合

支払額    28.9 万円(10年固定0.75%)
管理費修繕費   2.7 万円(仮)
固定資産税    1.0 万円(仮)
諸経費        5.0 万円(往復)
専有部修繕費 1.0 万円
ローン控除     0 万円(対象外)
10年後の価値 ▲8.6 万円(お金が戻ってきます)
=====================================
合           計     30.0 万円(10年平均)

賃貸の場合

家賃    32.1 万円
諸経費       3.2 万円(敷礼金・更新料・保険料等)
=====================================
合        計  35.3 万円(10年平均)

部屋によっては落第になる

5年間の定期借家ですが白金タワー(駅徒歩1分/築14年/33階/75m2)の部屋が家賃35万円、管理共益費2万円の計37万円でSUUMOに掲載されています。

E76A(北・高層階・76m2・15,770万円、坪単価686万円)だと住宅ローンだけで月々42万円もの支払いになります。賃貸を選ぶべきなのは明白です。すでに指摘したように広い部屋ほど残債割れのリスクがありますから尚更です。

再開発は最初の物件を買うのが正解だが

再開発は最初の物件を買うのが正解です。それは過去の再開発物件が証明しています。読者の方からも「高いですが再開発第1弾の物件ですし、無理してでも購入すべきではないかと悩んでいます」との相談が寄せされています。

個人的には当物件に再開発の法則は当てはまらないと感じています。単純な話で当物件の価格以上の買い手はもういないからです。いるとしたら海外勢ですがそこを期待するのはちょっと危険です。

マンションギャラリーでは「再開発は最初の物件を買うのが常識ですよ」という営業トークを聞かされますが信じてはいけません。営業マンは過去の話をしているだけで、未来の話はしていません。営業マンの悪意のあるレトリックに引っかからないようご注意ください。

>> 無理のない予算を知りたい方はこちらをどうぞ。
>> マンションを購入しないという選択もあります。
購入と賃貸
>> 金利は固定金利の方が安心です。
>> 手付金は満額払ってはいけません。

チェック7:目立つこと→合格

※ 当項目は売却時に指名買いが発生するかを判定します。

当物件を皮切りに再開発予定が目白押しの地域になりますが、この圧倒的な規模は完成したら大いに目立つことは間違いないでしょう。商業施設も併設されますし注目度は抜群です。

成約するかは別の話ですが白金エリアで中古マンションを探す方の多くが見学するマンションの一つになるはずです。毎週末にマンションのエントランスで見学者と仲介業者が待ち合わせをする光景が見れることでしょう。よって合格とします。

チェック8:柱が室内に食い込んでいないこと→合格(部屋による)

※ 当項目は建物の設計の贅沢さとデベロッパーのヤル気を判定します。

当物件の間取り図を見てブランズタワー豊洲の悪夢を思い出した方もいるはずです。残念なことに当物件も下がり天井の嵐だからです。ただ、ブランズタワー豊洲は激辛カレーLEEの辛さ30倍レベルでしたが、当物件は辛さ10倍レベルなので多少はマシです。

もちろん、多少はマシなだけでなので落第になる部屋は存在します。評価対象の部屋(E51A)に限れば合格ですが、物件全体が合格ではないことはご注意ください。

チェック9:洗面所の入り口が廊下にあること→合格

※ 当項目は建物の設計の贅沢さとデベロッパーのヤル気を判定します。

当物件は設備仕様が4つに別れています。賃貸レベルのSTANDARD、郊外レベルのEXECUTIVE、都心レベルのPremium、本当のプレミアムレベルのSkyPremiumです。

そして、EXECUTIVE以上であれば当項目は合格です。長谷工が施工業者として名を連ねていますが、さすがにこの価格帯で洗面所の入り口をリビングに設置するようなことはしなかったようです。

>> 間取りについてはこちらをご覧ください。

チェック10:家族の思い→落第

※ 当項目は評価者の個人的価値観を満たすかを判定します。

下町感は悪くない

個人的には当物件周辺の下町感は嫌いではありません。祖母の家がある街の懐かしい匂いがするのが嫌いになれない理由です。まるで地方都市にいるようなリラックス感すら感じます。

現地調査のついでに建設現場近くにある白金商店街を歩くと、椅子を出して路上でボーッとしているおじいさん、道端で花火をしている親子、オンボロの集合住宅や戸建てから聞こえてくる生活音、商店街にいまだに存在する鶏肉専門店、などなど昔懐かしい下町の風景を見ることができます。

当物件の豪華さと反比例した周辺の雰囲気に対してあれやこれやと言う田舎者もいますが、昔からお住いの方からしてみたら大きなお世話というものでしょう。この景色もまた東京なのです。以下に引用するこち亀の両さんの言葉が東京出身の方の気持ちをよく表現しています。

署も地方出身者がほとんどでね・・・。

東京生まれはふるさとがないなどとよく言っているが、ありゃヒガミだ。

江戸っ子にゃ山や川なんてセンチなものはいらねぇ!

横丁やドブ川がふるさとよ!

こち亀第1巻から拝借

住み替える理由がない

ただ、私はすでに当物件と同じ都心に住んでいるため、今住んでいるマンションから当物件に住み買えたとしても交通利便性や生活利便性に大差がありません

また、4年後に今住んでいるマンションを売却してもそれほど大きな利益にはならないことも住み替えを躊躇する理由の一つです。マンションは住宅ローン控除が終わり、大規模修繕が終わった直後の築10年過ぎでの売却が最も利益が最大化するからです。

よって、わざわざ今住んでいるマンションから切り替える理由がないため落第とします。

含み益があるなら買い替えもあり

一方で、築10年を過ぎてたっぷりと抱えた含み益を確定させて当物件に住み替える状況だったとしたら合格にしたかもしれません。

白金タワーにお住いの方などはまさにその典型でしょう。当物件の資産価値は割高な価格ゆえに価格維持は期待できませんが、確定した含み益があるならチャレンジする価値はあるでしょう

私も仮に当物件の竣工時期が10年後だったとしたら買った可能性が高いです。見逃すには惜しい物件なのは間違いありません。

結果

結果は80点となりました。合格になる間取りを選べばという条件付きですが検討に値するマンションだと判断して良い結果ですし、甘い採点をすれば100点にすらなり得るマンションです。

総評

マンションギャラリーは高級感であふれている

当物件のマンションギャラリーは最近では珍しい高級感を携えたもので、特に当物件の一部を再現した受付スペースの高級感と受付嬢が醸し出す愛人感は郊外では場違いなほどです。人の足元を見る癖がある港区民に舐められないようにしたのでしょうか。

また、マンションギャラリーの来場者を見るだけで販売しているマンションの格が分かるものですが、当物件の来場者は一目見ただけで当物件が安物ではないことを気づかせてくれます

特に来場されている女性たちが醸し出す美人度は郊外では絶対に見られない光景であり、銀座の高級クラブである麻衣子に来たかのような錯覚を抱くほどです。

その女性たちの傍にいる男性もまた小金持ちさを感じさせるいかにもな服装をした男性ばかりで、めぞん一刻の茶々丸のマスターと六本木朱美というワンカップ大関が似合う私たち酔っ払いペアは完全に場違いな存在として浮いていました。

エントランスの豪華さは別格

来場されている女性を見て物件の格を判断するキャバクラ狂いの私の下衆な意見など誰も聞きたくはないでしょう。しかし、そんな人でも当物件のエントランスに関しては私と同じように感嘆の声をあげるはずです。

紹介動画のエントランスが豪華なのはどの物件も同じですが、当物件のエントランスはエントランスだけで買ってもいいと感じるほど豪華です。

ブランズタワー豊洲のマンションギャラリーでエレベーターの乗り継ぎという落合博満のノックに匹敵する苦行を提案された反動もありますが、エスカレーターが整備された豪華エントランスは必見です。

ブランズタワー豊洲に住むとこうなります(冗談)

設備仕様の低さ

しかし、高級感いっぱいのマンションギャラリーと豪華エントランスを見せつけられて否が応でも高まる期待は、その後のモデルルーム見学で一気に冷や水を浴びされることになります。郊外のマンションと大差ない室内空間がその原因です。

設備仕様が4つに「差別」されていることは前述の通りです。レオパレス21レベルのSTANDARDは論外ですし、名ばかりEXECUTIVEの設備仕様はブランズタワー豊洲と同等の郊外レベルです。天カセエアコンや壁掛けエアコンを標準装備にしていますが、お茶を濁す程度でしかありません。

同時吸排や全熱交換器などが省かれているEXECUTIVEのモデルルームを見てこの部屋が1億円以上すると思う人はいないはずです。繰り返しになりますが1億円以上出してこの設備仕様なのですから世も末です。

標準の設備仕様で満足できるのは、都心レベルのPremium、本当のプレミアムレベルのSkyPremiumしかありません。まともな設備仕様の部屋を購入するには2億円以上の予算が必要なのですから本当に世も末です。

地権者の影響力

当物件の専有部分は立派なコストダウンマンションです。郊外レベルの設備仕様にEXECUTIVEという不相応な名称をつける苦肉の策は痛々しい限りです。

ブサイクな間取りも同様です。1億円以上出してこのレベルの間取りしか選べないなのが不思議でなりません。マンションギャラリーを見学した読者の方からも同様の感想が多数届いていますので多くの人が当物件の設備仕様と間取りに不満を持っているのです。

どうしてこのようなことになってしまったのでしょうか。完全な推測ですが地権者との調整の結果がこのブサイクな間取りと郊外レベルの設備仕様になったのだと推測します。

広い部屋をよこせ、2部屋よこせとゴネる地権者を黙らせるために最大限に譲歩した結果がこの有様だということです。設備や間取りを犠牲にすれば広い部屋や2部屋を用意できるからです。部屋の水増しと言い換えてもいいでしょう。

そして、本来は全住戸に満遍なく乗っかるはずのデベロッパーの利益は条件のいい部屋だけに集中的に上乗せされたのです。その証拠に地権者住戸の多くが条件の良くない低層階の部屋に集中しています。地権者住戸との差別化のために部屋のグレードをわざわざ4つに分けたのかもしれません。

また、マンションギャラリーを見学した方はご存知だと思いますが、当物件の共用施設は無料で使えるものがほとんどありません。フィットネスルームもスタディルームも利用料がかかります。今後変更の可能性はあるようですが、この利用形態は地権者の意向とのことです。当物件は地権者の影響力が異様なまでに強いことを伺わせるには十分な証拠ではないでしょうか。

地権者がはびこるマンション

8月の底で株を買ったのにちっとも上がらない私の予想が当たるのなら当物件の管理組合は地権者が牛耳ることになるでしょう。地権者に牛耳られた管理組合がどのように運営されるかはわかりませんが、いい方向にせよ悪い方向にせよ極端な振れ幅を見せると聞きます。

地権者の影響力はマンションの資産価値に効いてきますので、検討されている方はマンションギャラリーできちんと確認しておくべきです。少なくとも私は地権者の多いマンションを積極的に購入する気にはなれません

羽田新航路に注意

また、ご存知の方も多いと思いますが当物件の住所である白金1丁目は羽田新航路の直下ではありませんが、すぐ隣です。その騒音被害は誰も正確に把握できておらず最悪のケースでは「羽田新航路下の不動産は買ってはいけない」という世論が形成されて資産価値が下がる可能性もあります

新航路から多少の距離もある上に東側以外はT3サッシなので大井町よりは酷くないと予想できますが、大井町のレビューで紹介した動画と記事「都心上空を旅客機が飛ぶ!? 羽田空港の離着陸新ルート計画とは」を改めて紹介します。

プロは羽田新航路下の不動産に弱気

なお、私が通う銀座のスナックで一緒になる不動産関係者の中ではすでに「羽田新航路下の不動産は買ってはいけない」が共通認識となっています。さらに私が絶対の信頼をおいているコンサルタントも「高い確率で騒音問題が発生するので新航路下の不動産は全てオススメできない」と言っているのです。

私は素人ですから新航路の是非を判断できませんが、プロたちが口を揃えて言うことを無視することはできません。売却時に購入検討者が内覧にきている最中に飛行機の轟音が響いてきたら購入意欲が減退することは想像に難くなく、そのようなリスクは可能な限り排除しておくことが望ましいのです。

自分で答えを出すしかない

もちろん取り越し苦労に過ぎない可能性は大いにあります。台風が来るから早く帰宅したけれど実際には台風の影響はなかった、なんてことは往々にあります。ただ「こんなことになるなんて・・・」と甘い見立てを後から痛感する場合もあります。

個人的には当物件の眺望の魅力が新航路の影響を上回りますが、当物件を検討されている方は必ず検証して自分なりの答えを出しておく必要があります。そうしないといざという時に後悔してしまうからです。

まともなマンションは2億円以上の時代

当レビューで何度も1億円以上出してこの程度かと繰り返してきましたが、このレビューの終盤になってやっと私の価値観が時代遅れであることに気づきました。

超低金利&ダブルインカム&建築原価高騰が常識となった2019年では1億円のマンションは一昔前の5,000万円のマンションと同程度の存在になってしまったのかもしれません。

そして、1億円のマンションが2億円のマンションになってしまったのです。東日本大震災後の2013年前後に竣工したマンションの1億円の部屋を購入した人たちの多くが数千万円の含み益を抱えてる現状を見れば否が応でも認めざるを得ません

もちろん当物件が特殊な例であることは事実です。港区の駅徒歩3分の再開発タワーマンションですから必要以上に価格が上乗せされるのも理解はしています。

特殊なマンションを例にした推測など信頼に足るものではありませんので、この推測を裏付けるために引き続き普通のマンションもチェックしていくつもりです。

タイミング次第では買っていた

スペックだけで判断すれば当物件を買わない理由がない」とレビュー内でも言及したように当物件は立派なマンションです。

実際のところ、もし現在の住居を購入せず、まだ錦糸町の中古マンションに住んでいたのなら、今後の人生を独身で過ごすことが確実なら、レビュー対象の部屋(E51A・北・高層階・51m2・10,780万円)を購入していたでしょう。

E51Aは独身サラリーマンの一人暮らしの部屋としては頂点に位置する部屋です。一度くらいこんな部屋に住んでみたいと素直に思います。タイミングが合わなかったことがとても残念です。

家族と自分の価値観を大切にする

新築マンションは割高な金額と引き換えに理想の部屋を選べるのが最大のメリットです。当物件の素晴らしい眺望がお金さえ出せば確実に手に入るのですから悩む人は多いはずです。

これまで当物件について色々と残念な部分を指摘してきましたが、どんなマンションでも探せば欠点は出てくるものです。要はその欠点を把握し許容できるかどうかです。

当ブログの読者の方の中には、資産価値が高い地域No.1のマンションを検討した上で、あえて自分たちの価値観に合う別のマンションを購入した方がいます。残債割れリスクはあるがその金額が許容範囲であることを確認して、あえて家族が希望するマンションを購入された方もいます。

マンションを選ぶ最終的な要素は「家族の思い」です。当物件を買うべきか悩まれている方はネット上の様々な情報を参考にしつつも、身近すぎて忘れがちなこの要素を忘れないようにして欲しいのです。妻の意見を無視してマンション探しに夢中になって失敗した私からのお願いです。

終わりに

マンションギャラリーのオープン初日に見学しておきながら1ヶ月近く経過しての公開となりました。正式価格も決定し真剣に検討されている方の悩みは深まるばかりかと察します。

当物件を検討されている方が何かのご縁でこの不恰好なレビューをご覧になり、少しでも参考になったと言っていただけたならこれ以上の喜びはありません。

繰り返しになりますが、当物件を検討している方は、当レビューを始めネットや方々の評論を読み、自分自身で納得するまで調べ上げてください。そして、最終的にはご自身の判断を大切にしてください。他人の意見は参考にしてもいいですが、従ってはいけません。

ただ、当物件の購入を決意されたとしても、一度は不動産コンサルタントに相談してみてください。見落としている事実があるかもしれませんし、何も見落としがなければ安心して契約できると思うのです。

多くの読者の方が不動産コンサルタントに相談して納得のいくマンションを購入されている事実を目の当たりにして、改めて強くそう思います。

それでは、14,000字を超える大作を最後までお読みいただきありがとうございました。皆さんのマンション探しの旅が納得のいくゴールを迎えることを祈っています!!

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18件のコメント

餅つき名人さま

はじめまして!
いつも家族でブログを読み、名人さまの表現を楽しみつつ、マンションの勉強をさせていただいております。
私は芝浦に、6年ほど持ち家で住んでいる30代会社員です。
現在の住まいは50平米をわずかに超えるくらいの広さで、家族構成の変化から、白金ザスカイの少し広めの部屋を有力候補として住み替え検討しております(まさに名人さま指摘の含み益有りの買い替え組です)。
売却益が少し出る予定ですが、売却益に対する譲渡所得課税の特例を利用しようと考えていますが、その場合、住宅ローン控除が利用できなくなってしまうと思います。
本レビュー中で、
「マンションは住宅ローン控除が終わり、大規模修繕が終わった直後の築10年過ぎでの売却が最も利益が最大化する」
との記載に目が留まりました。
名人さまも、一つ目の御居住物件を売却されて、先般新居へ御引っ越しされたと理解しております。
売却活動にかかるブログから紆余曲折あったようですが、「強気の売り出し価格であった」ことを伺わせる記述がありましたので、売却益も大きく出ているのでは、と想像しております。

このような中ですが、名人さまは、住宅ローン控除と譲渡利益課税特例利用とで、迷われましたでしょうか?私は、引っ越し後10年ギリギリまで次の住居に住まないと、(現在の相場より弱気になることを想定して厳し目で売却予定額を試算)特例の方が有利な状況で、住宅ローン控除は諦めようと考えております。
名人さまの上記記述を拝見して(本レビュー中には、大きな含み益が乗っている場合は買いとも言える、との記載と、住宅ローン控除の記載が並存しております)、もしかしたら、私の見落としていることがあるのか?住宅ローン控除と特例を併用する方法があるのかも?と思いまして、コメントしました。

お時間いただき恐縮ですがコメント頂けますと大変嬉しく思います。
長文および過去記事へのコメント失礼しました。
本記事は、久しぶりに三度目の拝見となりますが、ふと、上記の住宅ローン記載に目が留まり思い切ってコメントしてしまいました。いつもツイッターも楽しく見ています。
暑い日が続いておりますがお体に気をつけて。

芝浦民より

当ブログをご家族でお読みいただけてるとのことで大変嬉しいです。マンション購入奮闘記の離婚に至る修羅場の数々はなぜか女性に人気のコンテンツでもあります。下手なドラマよりも生々しいからかもしれません。

さて、住宅ローン控除と譲渡利益課税特例利用についてはご認識の通りかと思います。併用することはできないのでどちらかを選ぶことになります。ただ、税金に関わることですので専門家の正確な助言を頼りにすることをお勧めします。こんなインチキブログの作者に聞いてはいけません。石田純一に恋愛相談をするくらい危険な行為です(笑)

なお、私の場合は減価償却やリフォーム費用、購入時費用などを費用計上することで譲渡利益課税対象外にできたので、現在の新居は住宅ローン控除適用となりました。ブログにまだ書けていませんが最終的に強気を押し通せるような状況ではなくなったのも譲渡利益課税対象外になった理由です。つまり税務計算上では赤字になっているのです。もちろん実際には残債を完済してもなお手残りがありましたので結果的に住居費がタダになった程度のプラスにはなりました。

直近の新築マンションの価格を見ると白金ザスカイは狙い目になりつつあります。ご家族で納得のいくご判断ができることを祈っています^^

ご返事ありがとうございます。
確かに、リフォーム費用などは計上できますね。
専門家にも助言をいただくようにします。

ブログの続きも楽しみにしています(^^)

はじめまして!
いつもブログを楽しく拝見させて頂いております。
西棟の東棟と対面している低層の部屋はどう思われますか?
6千万または9千万程の1LDKが気になっております。
ただ眺望や階数は期待出来ないので、リセールが気になっております。

コメントありがとうございます。1LDKは購入対象者からファミリー層が除外されます。その条件下において眺望が期待できない1LDKの中古がいくらで買ってもらえるのか、自分の感覚で考えるとリセール価格が見えてくると思います。もしリセール価格が見えてこないのであれば一旦立ち止まるほうが無難です。自分がやっていることを理解せずに行動してもいい結果はのぞめないからです。ちなみに私であれば1LDKはリセールではなく賃貸で回収できるかを基準に判断します。この返信がお役に立てれば幸いです。今後も当ブログをよろしくお願いいたします^^

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