読めばレベルが一気に10も上がる「マンション大全」

本日の書籍

こんにちは、餅つき名人です。今日は家電ではなく書籍のレビューを行います。今回レビューするのは三井健太著「マンション大全」です。

いま流行りの煽るような帯のキャッチコピーが安っぽさを感じさせ、読む前から一抹の不安を掻き立てます。平置きにした時に目立つように意図的にデザインしたのでしょう。個人的には積極的なキャッチコピーの方が好みです。

購入を決めた背景

インターネットでマンション関連の情報を探していると必ず出会うのが三井健太氏の書いたブログです。SEOに強いマンションブログは多々ありますが、マンションを知り尽くしたプロ(専門家)としての記事は数あるブログの中でも一線を画すクオリティがあります。

私も2015年にマンション探しを始めた時に三井氏のブログを読み、充実した内容に大いに勉強させてもらいました。実際にライオンズタワー柏の評価レポートを依頼をしました。「柏No.1のタワーマンションだからどれだけいい評価なのだろう」と期待して読んだレポート内容が思いのほか渋い評価だったのは懐かしい思い出です。

ただ、三井氏のブログは更新頻度が高いため有用な記事が埋もれてしまう構造になっていたり、ネタが重複するという問題もありました。過去の記事が読まれにくいというのはブログというメディアの宿命でもあります。

そんな折、朝日新聞出版の編集を通して三井氏の知識が体系化されたと聞き強い興味を持ちました。マンションに関する書籍は結構な数を読んでいますが、各著者の得意分野に内容が偏っており「最初の1冊目」つまりマンション探しを始めた人が最初に読むべき決定版と呼べる書籍はいまだに存在しないと感じていたからです。

Amazonで予約し、発売日に入手して2回ほど通読しましたので、この三井氏の書籍がその決定版と足りうるのか早速レビューしてみたいと思います。

読んで感じたこと

Good:理解しやすい構成

実際に読んでみて、本書の最大の価値は三井氏の知見が理解しやすいように体系化されたことだと感じました。冒頭で書いた期待を裏切らないものです。

そして「自分がマンション探しを始めた頃に出会いたかった」とも思いました。それほど読みやすく理解しやすい構成になっています。

私もブログという文章表現の場に身を置いていますが、その日の心身のコンディションによって文体が大きく揺らぎます。攻撃的だったり悲観的だったり楽観的だったり虚無的だったりします。ほとんどがマイナスのコンディションなのは私の特徴です。

本書は出版社の編集という第三者が仲介することで文体にブレがなく統一感のあるものになっています。作曲家が三井氏だとしたら、編曲家が朝日新聞出版であり、その編曲作業は成功したと感じます。

Good:初心者が中級者になれるほどの充実した内容

本書の内容について詳しく触れることはしませんが、書かれている内容の充実さには目を見張るものがあります。初心者が知るべき情報が全て網羅されていると言っても過言ではありません

特にコストダウンされているマンションの見分け方や上手な妥協の仕方は今からマンション探しをされる方にとっては新鮮な情報になるはずです。今からマンション探しをする人は上手に妥協することを求められるからです。

本書に書かれた内容をマスターしたのなら、何回かマンションを売買してきた中級者と同等のマンション選びが初心者でもできる、そう思えるほどの充実した内容です。本書を読むだけでレベルが1から10に一気に上昇するでしょう。

Good:マンション市況の今と未来を伝えている

マンション購入について書かれた本は多数ありますが、2019年以降の状況を踏まえての本は存在しません。しかし、本書を読めば2019年以降のマンション市況がどのような状態なのかを正確に把握することができます。

2015年にマンション探しを始めた私がまさにそうでしたが、今まさにマンション探しを始めようとしている人はマンション市況がどのような状況になっているのかを理解していません

ルールも知らないままカジノのポーカーの席に座るようなものであり、あっという間に有り金がなくなってしまうのは目に見えています。

しかし、本書を読めば今からマンション探しを始めようとする人でも一通りの知識を身につけてマンション探しを行うことができます。本書は旅のガイドブックのようなものでもあり、まさにこれからマンション探しの旅に出発する人が読むべき本といえます。

Bad:少し淡白な文体

相反する指摘になるのですが、本書は編集者が介在しているがゆえに文章に三井氏の個性(癖)が薄れている印象を受けました。

著者の個性(癖)を味わうことは読書体験の醍醐味ですが、理路整然とした構成と無駄のない文体は学生時代に参考書を読んでいた時の感覚を呼び起こすのです。読みにくい構成と癖のある文体の本を頑張って読み終えた充実感と記憶への浸透度は悪くないものがあります。

ブログは誰のフィルターも通さずに著者の純度100%の言葉をダイレクトに読者に届けることができます。それは濾過せず樽出しをそのまま瓶に入れる、ノンチルウイスキーのようであり独特の味わいを持ちます。

もちろん濾過と加水されたウイスキーの方が飲みやすく万人ウケするので淡白な文体は間違いではありません。編集の正しい判断です。

Bad:中級者以上には物足りない部分も

本書の序文で幅広い読者層を想定していると断り書きがあるので欠点ではありませんが、1〜2度のマンション売買の経験がある人にとっては少し物足りないところがあります。

焼き鳥のコースで〆の鶏そぼろ丼を食べたにも関わらず、追加で串を何本か注文したくなる気持ちに似ています。この点については第2弾の書籍に期待したいところです。

総評

オススメ度(☆☆☆:初心者に絶対のオススメ)

期待を裏切らない内容でした。まさにマンション購入を検討し始めた段階で読む最初の一冊、つまり決定版と言っていいでしょう。

また、すでにマンションを購入されている方にとっても本書は自分が選んだマンションが本当に正しい選択だったのかを確認できるいいきっかけになるはずです。もちろんいい結果になるかどうかは別問題です。

過剰な期待は禁物

確かに本書の内容は充実しており、レベルを一気に+10引き上げてくれる良書ではありますが、本書を読んだら予算内で資産性と生活利便性の両方が満たされた理想のマンションを購入できるのかと問われたら答えは「NO」となります。マンション探しはそんな簡単なものではありません。

落合博満が書いた打撃論の本を読んだ全員がホームランを打てるようになるわけではありません。ピーターリンチが書いた本を読んだ全員が株式投資で大成功するわけでもありません。

私は両方の本を愛読していますが、草野球ですらホームランは年に数本しか打てません。株式投資の個別銘柄に限れば生涯収支はマイナスです。要するに知識を実戦で活用するにはまた別の要素が必要なのです。その要素とは三井氏による直接のサポートもしくは実戦経験になるでしょう。

しかし、本書に書かれている内容を知っているのと知らないのでは大怪我をする確率は大きく変わります。実は本書は成功するためのノウハウではなく、失敗しないためのノウハウが詰まった本なのです。

Amazonのレビュー

なお、Amazonのレビューで本書の記述の一部が誤っているという指摘がありますが、例えそうであったとしてもこのことが本書の価値を下げるものにはなりません

24時間ゴミ捨てができないことが判明して一部の検討者を騒然とさせたSHINTO CITYも蓋を開ければ誰もキャンセルなどせず順調に契約が進んだのと同じことです。

終わりに

当ブログ初の書籍のレビューでしたが、どうもキレがなく凡庸なものになってしまいました。どうやら私はインチキの匂いがする物をレビューする時の方が文章にキレが出てくるようです。

ただ、逆説になりますが当レビューがつまらないということは本書が良い本だという証拠なのです。ですから本書に興味を持たれたのならぜひ読んでみてください。価格以上の価値がある本はめったにありません。オススメです。

それでは、最後までお読みいただき本当にありがとうございました。次回の記事はマンション購入奮闘記の売却編です。不動産屋への悪口と恨み辛みが止まらない過激な内容になっています。お楽しみに!!

2件のコメント

今回も楽しくレビュー読ませてもらいました!

わたしも三井さんには何度もレポートをお願いし、お会いしてご相談したり、大変お世話になりました(´ー`)
本はまだ拝見しておりませんが…

※ 公開にあたりお名前を変更しました。

いつもブログをご覧いただきありがとうございます!!あまり良い出来ではないレビューと自認していたので、楽しく読んでいただけたと聞いてホッとしています。次回も面白い記事を書けるよう頑張りますので、また遊びにいらしてくださいね^^

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